福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2017年8月号 月報

あさかぜ基金だより

月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 若林 毅(68期)

あさかぜの所員弁護士は、およそ2年の養成を経て、九州内の弁護士過疎地域に赴任します。平成20年9月の事務所開設以来、これまでに18名の弁護士が、九州内の弁護士過疎地に赴任しています。私も2年目となり、赴任を考える時期となりました。

そこで、今回は弁護士過疎地域への赴任に向けて、あさかぜでどのような養成を受けているかについて、ご紹介したいと思います。

事件処理の養成について

あさかぜは、委員会方式という運営方式を採っており、所長はいません。

所員弁護士に、福岡県弁護士会所属の指導担当弁護士がそれぞれ3名選任され、事件の共同受任などを通じて指導を受けます。また、福岡県弁護士会の執行部経験者を中心としたあさかぜ応援団や九弁連管内の弁護士との共同受任や事件の紹介を通じて経験を積みます。

私自身も指導担当をはじめ多くの諸先輩弁護士と様々な種類の事件を共同受任させていただき、日々多くのことを学んでいるところです。

単独受任事件では、刑事、債務整理、離婚等の家事事件が比較的多く、共同受任事件では、一般民事事件その他の事件が多い印象です。

あさかぜでは、事件管理簿を作成し、毎週弁護士と事務局がミーティングを行い、事件処理についてその週にするべきことを確認・共有し、業務の効率化に努めています。あさかぜでは所員の転出が常に予定されているため、事件の引継をスムーズにすることも目的の一つです。

事務所経営・運営の養成について

あさかぜ所員は、主として九州管内のひまわり基金公設事務所に赴任することが予定されており、基本的に独立して事務所を経営していく必要があるため、事件処理だけではなく、事務所の経営・運営についても意識的に考え実践するよう養成を受けています。

具体的には、九弁連のあさかぜ基金管理委員会と福岡県弁のあさかぜ基金法律事務所運営委員会から、経営、養成、赴任準備などについて指導・助言を受けています。

事務所会議も開催しています。事務所会議は、運営委員会委員長と事務局長、担当副会長、所員弁護士、そして事務職員が参加し、月1回開かれています。ここでは、キャッシュフローデータにもとづき、毎月の収支の動きの把握に努め、経営ノウハウについてもアドバイスを受けています。キャッシュの動きを月単位で把握することで、事件について終結する目途を考えたり、法律相談をどのように受任につなげていくか工夫したり、賞与の支払いや税金・社会保険料の支払いを念頭に置いてランニングコストを意識するように心掛けています。事務所の広報についても、さらにホームページを拡充する方策を検討しているところです。

また、あさかぜでは、事務職員の労務管理も養成の一環としています。ひまわり公設事務所に赴任すれば、事務職員の募集・採用、就業規則の作成・改定、36協定の提出、労働時間の管理などを行う必要があるからです。赴任後の事務職員への指導も視野に、所員弁護士が一度は各所の事務手続(裁判所・検察庁・弁護士会・法務局・労基署・郵便局関係など)を行うようにもしています。

この他にも赴任へ向けて、所員弁護士各自が委員会活動や各種研修にも積極的に参加し、弁護士としての活動の幅を広げるべく研鑽を積んでいます。

日々の業務では、目の前の事件処理に追われがちになることも多いのですが、事務所経営・運営についてもしっかり学び、今後の養成期間をより充実したものにしていくつもりですので、引き続きご指導、ご援助をお願いします。

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