福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2017年7月号 月報

あさかぜ基金だより

月報記事

会員 島内 崇行(65期)

1 はじめに

65期の島内崇行と申します。平成29年5月1日より、長崎県弁護士会から福岡県弁護士会へ登録換えしました。

私は、平成24年12月に弁護士登録し、あさかぜ基金法律事務所において、2年間執務しました。そして、平成27年2月より壱岐ひまわり基金法律事務所所長として赴任し、2年間の任期を終えました。

私が司法過疎地での任期を満了することが出来たことは、一重に、あさかぜ時代に福岡県弁護士会の諸先輩方より賜ったご指導ご鞭撻のおかげ、さらには九州弁護士会連合会のご支援のおかげだと思います。

まずは、この場をお借りして御礼申し上げます。

2 壱岐の島民性ついて

(1) 私は、壱岐に赴任した直後、「壱岐島民は、農耕民族で争いを好まない」という話を、壱岐のある方から伺いました。

私は、赴任したてのころは半信半疑でしたが、任期を終えた今では、十分納得できる言葉です。

(2) まず、2年間の任期のうち、後半1年間は、刑事事件がほぼありませんでした。数えてみたところ、2件です。壱岐では、当番担当日を一月単位で区切り、壱岐ひまわり所長と法テラス壱岐スタッフの2人が、一月毎に当番担当日を交代していました。つまり、2人とも、1年の半分が当番担当日ということになります。それでもなお、受任した件数は2件でした。1年目は、少年事件含めて10件弱ありましたので、驚きの数字です。

そして、事件類型も、ほぼ窃盗(強盗ではない)でした。

(3) また、民事事件も、最初に相談に来る時、相談後に依頼する時、それぞれにハードルがありました。そこには弁護士に相談したことや弁護士に依頼したことを知られたくないという思いがあるようでした。

壱岐は狭い社会で島民間の距離が非常に近い印象です。それ自体は素晴らしく、街を歩くと小中高生が元気よく挨拶してくれたことは、今でも強い印象として残っています。ただ、そういう島ですので、島の皆さんは弁護士に相談したことや弁護士に依頼したことが周りに知られ、わざわざ争いを大きくしていると思われることを、心配しているようでした。

3 弁護士に対するイメージについて

(1) そもそも、なぜこういった不安が生まれるのでしょうか。

(2) それは、やはり弁護士に対するイメージに原因があるのでしょう。相談に来られた方が、「弁護士を間に入れて争いが大きくなることが不安である」というニュアンスの言葉を、口にされていました。

私は、弁護士に依頼することは、争いが大きくなる前に紛争を解決する、紛争を早期に解決するためのものであって、そのイメージとは逆だという説明をしたものです。

(3) 壱岐は、そもそも法律事務所の歴史自体が浅いですから、まだまだ弁護士そのもののプレゼンが必要な土地であって、それは、今後の課題として後任に引き継ぐことになりました。

4 おわりに

弁護士に対するイメージを変えるということは、壱岐のような土地だけでの課題ではなく、私は、福岡での今後の活動においても、そのことを意識しつつ職務に励むつもりです。

改めて、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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