福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2016年2月 1日
憲法リレーエッセイ
憲法リレーエッセイ
会 員 井 芹 美 瑛(67期)
1 はじめに
あっという間に弁護士1年目が終わり、弁護士2年目を迎えました。今回憲法リレーエッセイを担当することとなり、この1年私が取り組んできた憲法に関する活動について振り返りたいと思います。
2 憲法委員会への委嘱
私は、最初の委員会委嘱で憲法委員会に委嘱されました。最初はただ議論を聞いているだけの状態で委員会に出席しており、勉強して議論についていかなきゃ!ということから私と憲法との関わりが始まりました。
3 街頭宣伝と市民集会への参加
私が委員会に参加し始めた当初、委員会では6月13日に開催される弁護士会主催の市民集会の準備の最中でした。集会の成功に向けて、執行部や委員会の先生が街頭に出てちらしを配り、集会への参加を呼びかけていらっしゃいました。私もちらしを配っていたところ、急遽マイクを持って話をすることになりました。恥ずかしながら、緊張し過ぎた私は、ちらしに書いてある内容を読み上げることしかできませんでした。
集会当日は一参加者として家族と一緒に参加しました。始めて憲法集会に参加したのですが、市民会館が満員になるほど人が集まっており、集会後のパレードの参加者も多く、多くの市民の方々が安保法に反対しているのだと実感しました。
4 立憲デモクラシーの会のパネリスト
2015年11月29日、憲法学・政治学などの学者の方々が主体となって立ち上げた立憲デモクラシーの会が開催したシンポジウムで、私がパネリストの1人として参加することになりました。まさか私が憲法や安保法について沢山の人の前で話すとは思っていませんでしたので、何日も前から緊張して仕方ありませんでした。シンポジウムは斉藤芳朗会長の開会の挨拶から始まり、憲法学の阪口正二郎先生(一橋大学)、政治学の中野晃一先生(上智大学)の講演と進み、パネルディスカッションの時間になりました。私は不安と緊張でお腹が痛くて仕方なかったのですが、一緒にパネリストとして参加した当会会員の村井正昭先生や、安保関連法に反対するママの会@福岡の宮下彩さん、Fukuoka Youth Movementの熊川果穂さんに助けられ、福岡で取り組んでいる安保法制反対運動について報告し、今後どのような取り組みができるか議論をしました。ママの会の宮下さんや、FYMの熊川さんは、これまで特別政治に関心があったわけではないけれど、集団的自衛権行使を容認する閣議決定がなされたことを受けて、何か行動しないといけない!と考えて行動を始めたとのことで、とても熱い気持ちを持って積極的に行動されています。ママの会は、「だれの子どももころさせない。」というスローガンで、安保法制反対運動に取り組み、ママたちが自分たちの問題だと考えて活動を始め、今では街頭に立つことが日常の一部になっているそうです。また、FYMの学生達も戦争に行くのは自分たちかもしれない、自分の友達や恋人など身近な人かもしれない、と自分自身の問題だと捉えて、後悔しないために今、行動しているそうです。安保法制が成立してしまって意気消沈している場合ではない、大事なのは可決されても使用させないこと、そして廃案に向けての行動が必要であって、そのためには一人一人が声を挙げていくことが必要なんだ、ということを再確認する場となり、私もとても刺激を受けました。
5 さいごに
2015年12月17日、弁護士会主催で安保法に反対する市民集会を開催し、その際は準備段階から関わることができました。また、現在も3月19日(安保法成立から半年)に福岡県弁護士会主催での企画の準備が進んでいるところです。最初はただ参加しているだけで何の力にもなれませんでしたが、徐々に企画から携わることができるようになり、まだまだ勉強中ですが少しずつでも成長しているのかな、と自分で考えたりしています。
この1年、憲法問題に取り組んできて、今、憲法、立憲主義が直面している問題について、自分の中で考え、行動していくことが必要なんだと感じています。これは弁護士として法に携わっている以上、避けてはいけないことだと考えています。これからも私に出来ることは小さなことだと思いますが、一弁護士として、そして弁護士会の会員として、市民の方々と一緒になって行動していきたいと考えています。