福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2016年2月号 月報
あさかぜ基金だより
月報記事
弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 服部 晴彦(68期)
1 自己紹介
平成27年12月にあさかぜ基金法律事務所に入所しました、所員弁護士の服部晴彦です。実務修習(68期)は出身地の佐賀でした。
以下、私のこれまでの経歴とあさかぜ基金法律事務所を志望しました理由について話します。
私は、佐賀県の東部で生まれ、地元の高校を出た後、進学した大学では政治学を専攻していました。大学を卒業した後、国家公務員として関東で勤務することになりました。
国家公務員として、訟務業務、すなわち、国を当事者とする訴訟に関する業務を担当したことが法律家を目ざそうと思ったきっかけです。訟務では、裁判官や検事出身の訟務検事が主張書面の起案などの訴訟活動を進め、訟務官や事務官が事務方として、書面の提出、証拠の整理、他省庁との折衝などを行います。私は、事務官として、福岡高裁管内の行政事件を担当していましたが、大学では法律を専門的に学んでいなかったので、日々の業務をこなすのに大変苦労しました。しかし、業務を通じて裁判・司法が生活に密接に関わっていることを実感し、法律家として訴訟に携わりたいと思うようになりました。
退職して法曹を目指すのには勇気が要りましたが、一度きりの人生なのでやるだけやってみようと、法科大学院試験に合格したのを機に退職し、佐賀県の実家から福岡市箱崎にある九州大学法科大学院に入学しました。そして、平成26年の司法試験で合格できました。
平成26年の夏に司法試験受験生向けの実務演習講座に参加したところ、その懇親会で所員弁護士の青木一愛弁護士(65期)からあさかぜ基金法律事務所が司法過疎地域に赴任する弁護士の養成事務所であることを聞きました。また、同年11月に修習生向けの合同事務所説明会で中嶽弁護士、西村弁護士から、あさかぜ基金法律事務所の詳しい説明を受けました。
これまで司法の手が届かなかった地域に、弁護士を派遣して司法サービスを受けられるようにするというあさかぜ基金法律事務所の設立趣旨に感動を覚え、弁護士過疎地域で弁護士として働きたいと思うようになりました。また、地元の九州で働きたいとの思いもありました。
あさかぜ基金法律事務所ならば、弁護士過疎地域で働くための経験・能力を身につけることができる、自分の進路の希望と合致すると思い、選考・面接を受け、縁あって入所することになりました。ロースクール生時代を過ごした福岡で働くことができてうれしく思います。
2 あさかぜ基金法律事務所の紹介と近況報告
あさかぜ基金法律事務所は、ご承知のとおり、司法過疎・偏在問題に関して、若手の弁護士を養成、派遣することを目的として、設立された法律事務所です。所員弁護士は、1年半から2年程度の養成期間を経て、九弁連管内の弁護士過疎地域に赴任します。
設立当初からの赴任実績は、ひまわり公設事務所(対馬3名、壱岐2名、西都、島原中央、小林各1名)、法テラス事務所(高森、指宿、五島、徳之島、壱岐各1名)、独立開業2名(福岡県大川市、熊本県人吉市各1名)、合計15名の弁護士が赴任あるいは独立開業しています。
あさかぜ基金法律事務所では、平成27年12月を持ちまして、中嶽修平弁護士(66期)が退所し、九州弁護士会連合会のご了解を得て、平成28年1月より、熊本県人吉市で独立開業することになりました。人吉市は、人口約3万4000人、鹿児島県との県境に位置し、球磨川が流れる自然豊かな街ですが、開業している弁護士は2名で、熊本県内では最も対人口比で弁護士人数が少ない弁護士過疎地域です。
私は、入所の時期の関係でわずか1週間という短い期間でしたが、中嶽弁護士と一緒に働くことができ、その温かい人柄や仕事への熱心な姿勢に触れることができました。奥様とともに二人三脚で事務所をやっていくとのことですが、新天地においても活躍されるものと確信しています。
あさかぜ基金法律事務所は、平成28年1月現在で、66期1名、67期2名、68期1名の4名の所員弁護士が在籍しており、68期はあと1名が2月に入所予定です。
3 おわりに
あさかぜ基金法律事務所は、管理委員会、運営委員会の委員の皆さま、指導担当・あさかぜ応援団など、さまざまな支援・協力を受けて、弁護士養成、事務所運営を進めています。今後とも福岡県弁護士会会員の皆様の支援をいただきつつ、これに甘えることなく、所員一同、精進していく所存です。引き続きのご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。