福岡県弁護士会コラム(弁護士会Blog)
2016年2月号 月報
遺言・相続全国一斉相談会
月報記事
高齢者障害者委員会委員 原 口 圭 介(63期)
お世話になります。高齢者障害者委員会の原口と申します。
去る平成27年11月16日、「遺言・相続全国一斉相談会」を開催いたしましたので、報告いたします。
1 いいいごんの日(11月15日)にかけての相談会であり、本年は、各地の弁護士会による無料電話相談と、各地の信用金庫での無料面談相談が行われました。
2 福岡での結果は、下記詳細のとおりです。
電話相談は、広報の関係からか、件数がやや伸びなかったようです。
面談相談は、福岡信用金庫、遠賀信用金庫、田川信用金庫にて行われましたが、予約でほぼ埋まり、好評だったようです。
3 私は、遠賀信用金庫古賀支店で面談相談を担当しました。相談内容は、遺言作成、遺留分、特別受益、成年後見、事業承継、相続税等で、相談者は、すべて信金の紹介による方々でした。
地元密着を旨とする信金は、地元の優良顧客の弁護士ニーズを把握できる機会・能力があるとも考えられ、弁護士と信金との連携は、お互いにとって有意義なものなのではないかと感じました。なお、信金側からは、このような相談会の開催については、大変ありがたいとのお話を頂きました。
4 以下、詳細です。
(1) 日時:平成27年11月16日(月)
10:00~16:00
(2) 主催:日本弁護士連合会、信金中央金庫、各地の弁護士会、NPO法人遺言・相続リーガルネットワーク
(3) 結果:(福岡部会)
会館 7件(うち電話4件、面談3件)
遠賀信用金庫古賀支店 5件(面談)
福岡信用金庫本店 3件(面談)
(北九州部会)
会館 4件(うち電話3件、面談1件)
(筑後部会)
会館 1件(電話)
(筑豊部会)
田川信用金庫伊田支店 4件(面談)
『全国一斉奨学金問題ホットライン』
月報記事
生存権の擁護と支援のための緊急対策本部員 阿比留 真由美(66期)
平成27年11月18日13時から19時、日本弁護士連合会及び各弁護士会主催『全国一斉奨学金問題ホットライン』が開催されました。
奨学金問題を抱える相談者(主債務者・連帯保証人・親族等)から、各弁護士会の担当者が電話で相談を受け、当会では、生存権緊急対策本部の委員4名が担当しました。
教育費の高騰及び経済的困窮者の増加に伴い、進学費用を奨学金に頼る人が増加しましたが、労働環境の悪化や就職困難、収入の不安定さにより、奨学金債務の返済に窮する人が増加しています。特に、独立行政法人日本学生支援機構は返済困窮者への対応が厳しく、返済免除・猶予の条件も制限し、返済に窮する若者及びその家族が経済的・精神的に追い詰められています。
当会に対する相談件数は、合計26件であり、返済期限の猶予・減額返済等の方法を知りたい、延滞金が多いため返済しても減らない、奨学金の取立てが厳しいなどの相談が多く、日本学生支援機構や制度自体に対して不満を持たれている方もいらっしゃいました。
病気や低収入で返済が不可能、連帯保証人が父母というケースが多く、高齢の父母が返済するも延滞金が多いため返済しても一向に減らない、連帯保証人に迷惑を掛けられず、自宅を手放せないなどの理由から破産できないという方もいらっしゃいました。
本企画を通じ、猶予及び免除条件の緩和や給付制への移行など、奨学金制度の変更に向けて活動する必要性を強く感じました。
対外広報委員会だより パックン!きょろぱく KBCテレビ番組「聞かせて!本当にあった"争族"話」に出演しました♪
月報記事
委 員 春 田 久 美 子(48期)
今回は、テレビ局(KBC)のバンセン用ミニ番組に出演したときの裏話の巻!です・・・。
ん?バンセンって?・・・そうそう、番宣、つまり番組の宣伝のことです(ギョーカイの人って、短縮するとか逆さまにするとか本当にお好きですよね~~)。
対外広報委員会では、テレビやラジオに当会の法律相談センターをPRするためのCMを有料で流していますが、局側から、その"おまけ"つまりパブリシティとして様々な番組に登場させてもらえる枠をいただいています。今回はそのパブリシティとは別に、急遽、執行部のもとに誰か出演してくれる弁護士さんはいませんか~との連絡があった、とのことで対外広報委員会に話が回ってきて・・・という経緯で出演することになったのです。
宣伝する番組はテレビ朝日の『遺産争族』。伊東四朗さん演じる大企業の社長さんの遺産を狙って家族が争族に・・・という怖~い(?!)番組です。主演は、あの!ゲゲゲの女房に出ていたのが好きだった♥向井理さん&決め台詞「愚か者~」がちょっぴり怖かった(>_<)榮倉奈々さん。
担当ディレクターさんから申し渡されたリクエストは、「今までで一番こじれた話」や「珍しい相続話」を是非!とのこと・・・タイトルが「本当にあった、おそろしい話」なのも思い返し、さぁ~て何を喋ろうかなっ♪
マスコミの方、とりわけテレビ局は、絵になりやすく(ビジュアル的にインパクトがある)、ほぉ~っとかへぇ~という意外感、驚き感あふれるネタ(素材)を喜ばれますので何とかしたいのですが、いつもちょっぴり悩ましいのが"本当にあった"という部分です。私たちの仕事には守秘義務がありますから、もちろん本当にあった事件のことをそのまま喋るのはNGですよね・・・だから、生の事件の持ち味が損なわれない程度にちょっぴりデフォルメして喋るようにしています。
打ち合わせの段階で、私なりに用意してみたネタを3つ程、提案してみます。ディレクターさんの反応を見ながら、もう少しネタを加えてみます・・・。じゃあ、これとこれと~とお好みのネタをチョイスされ、それを台本にしていただけるということで打ち合わせは取り敢えず終了。あとは台本のやりとりを何往復かして、当日を迎えます。
指定された日時に北天神のKBCに伺うと早速7階に案内され・・・あっちょっとお化粧室に~(いつも思うのですが、テレビ局のトイレには、大体、どこにも、うがい薬と紙コップが置いてあるんですよね~やっぱりアナウンサーは喉が命、なのかな♪)最近あまり履かなくなった高めのハイヒールに履き替えます(気分を上げます(*^_^*))。いよいよ、アナウンサーの方お二人(小林アナ&増田アナ)が待つ会議室に。すぐに始められるよう大きなカメラがスタンバイされていて、CA(カメラアシスタント)さんや照明さんが大きな傘のような機材を移動させています。先ず、私が最初にすることはマイクをつけること。スカートの場合はその場ですぐに付けられるのですが、今日の私はワンピース!そうなのです・・・その場合は、音声さんからマジックテープで出来ている長~いベルトのようなものを受け取って、(トイレなどで)腰に巻いて器具を留める必要があるのです。それから首もとに小さなマイクピンを付けて~という具合。はい、用意はOKです。あとは、2人のアナウンサーの方とお互い自己紹介をして和み、軽~く進行を確認しながら打ち合わせ。ディレクターさんが用意してくれた当日版台本に目を通すと、3つのネタの順番を入れ替えた方が良さそう・・・と思ったのでお願いしました。さあ、いよいよ本番です。照明があかあかと灯されます(熱っ)。出だしの「聞かせて~!本当にあった~」の部分、アナウンサーのお二人が耳に手を当てダンボのようにするのですが、その仕草が二人揃わなかったようでやり直し・・・今度はバッチリです(当たり前ですが、プロのアナウンサーは声の大きさはもちろん、声音に独特の説得力があります)。
台本に従って進んでいくのですが、アナウンサーの方から思わぬ質問が出たりすることも。法律相談と同じだわ、と思いながらこなします。そんな収録の様子をじ~っと座って見ていらっしゃるのはプロデューサーの方。。。この方、ほとんど表情が変わらず、ちょっとそれが不・気・味かも・・・と思っていたら、やはりというか、「もってドンドン喋ってもらって」とディレクターさんに指示が。。。。あまり面白くないのかな~と思いつつ、これでもか、これでもかって感じで、思いつくままのエピソードを5~6個は喋ったでしょうか・・・ようやくOKが出ましたが、実際に映像に流れたのは、最初に私が提案した3つの中の2つでした♥(なぁ~んだ、これで良かったのか~と安心しました)。画面には〈家政婦は見た!〉と〈遺言書の内容に家族騒然〉の文字が・・・。私の解説が終わると小林アナが、すかさず「ドラマのラストよりドラマっぽいですね~」と受けて下さり、お上手だわっと感心しながら収録は終わりました。オンエアは、番組の予告の合間に絶妙なタイミングで私たちのお喋りが効果的なBGMとともに流れるように仕上がっていました(編集がさすがです!)。
収録が終わった後、「でも、親も住まなくなった自宅って欲しい人とかいるんですかぁ?」とか「代償金っていうけど、現金ない場合は、どうしたらいいんでしょうかね~」という鋭い質問が次々に繰り出され、私がそれに答えていると、「そっちの方も面白いですよね~!だって知らなかったですもん。」「視聴者の人も知らないと思うな~。あ~教えてあげたい!」と興味津々って感じで言われたので、私は「是非、続編を(しましょうね)♪」とにっこり返してスタジオを後にしました。映像は、「KBCムービー 遺産争族」で検索するとネットでご覧になれます。2月には委員会としての企画、KBCラジオ「まずは、弁護士に聞いてみよう」(毎週金曜15時~15時10分放送)も流れます。委員会のイベントなどで告知したいものがありましたら是非ご連絡下さいね、お待ちしております。
あさかぜ基金だより
月報記事
弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 服部 晴彦(68期)
1 自己紹介
平成27年12月にあさかぜ基金法律事務所に入所しました、所員弁護士の服部晴彦です。実務修習(68期)は出身地の佐賀でした。
以下、私のこれまでの経歴とあさかぜ基金法律事務所を志望しました理由について話します。
私は、佐賀県の東部で生まれ、地元の高校を出た後、進学した大学では政治学を専攻していました。大学を卒業した後、国家公務員として関東で勤務することになりました。
国家公務員として、訟務業務、すなわち、国を当事者とする訴訟に関する業務を担当したことが法律家を目ざそうと思ったきっかけです。訟務では、裁判官や検事出身の訟務検事が主張書面の起案などの訴訟活動を進め、訟務官や事務官が事務方として、書面の提出、証拠の整理、他省庁との折衝などを行います。私は、事務官として、福岡高裁管内の行政事件を担当していましたが、大学では法律を専門的に学んでいなかったので、日々の業務をこなすのに大変苦労しました。しかし、業務を通じて裁判・司法が生活に密接に関わっていることを実感し、法律家として訴訟に携わりたいと思うようになりました。
退職して法曹を目指すのには勇気が要りましたが、一度きりの人生なのでやるだけやってみようと、法科大学院試験に合格したのを機に退職し、佐賀県の実家から福岡市箱崎にある九州大学法科大学院に入学しました。そして、平成26年の司法試験で合格できました。
平成26年の夏に司法試験受験生向けの実務演習講座に参加したところ、その懇親会で所員弁護士の青木一愛弁護士(65期)からあさかぜ基金法律事務所が司法過疎地域に赴任する弁護士の養成事務所であることを聞きました。また、同年11月に修習生向けの合同事務所説明会で中嶽弁護士、西村弁護士から、あさかぜ基金法律事務所の詳しい説明を受けました。
これまで司法の手が届かなかった地域に、弁護士を派遣して司法サービスを受けられるようにするというあさかぜ基金法律事務所の設立趣旨に感動を覚え、弁護士過疎地域で弁護士として働きたいと思うようになりました。また、地元の九州で働きたいとの思いもありました。
あさかぜ基金法律事務所ならば、弁護士過疎地域で働くための経験・能力を身につけることができる、自分の進路の希望と合致すると思い、選考・面接を受け、縁あって入所することになりました。ロースクール生時代を過ごした福岡で働くことができてうれしく思います。
2 あさかぜ基金法律事務所の紹介と近況報告
あさかぜ基金法律事務所は、ご承知のとおり、司法過疎・偏在問題に関して、若手の弁護士を養成、派遣することを目的として、設立された法律事務所です。所員弁護士は、1年半から2年程度の養成期間を経て、九弁連管内の弁護士過疎地域に赴任します。
設立当初からの赴任実績は、ひまわり公設事務所(対馬3名、壱岐2名、西都、島原中央、小林各1名)、法テラス事務所(高森、指宿、五島、徳之島、壱岐各1名)、独立開業2名(福岡県大川市、熊本県人吉市各1名)、合計15名の弁護士が赴任あるいは独立開業しています。
あさかぜ基金法律事務所では、平成27年12月を持ちまして、中嶽修平弁護士(66期)が退所し、九州弁護士会連合会のご了解を得て、平成28年1月より、熊本県人吉市で独立開業することになりました。人吉市は、人口約3万4000人、鹿児島県との県境に位置し、球磨川が流れる自然豊かな街ですが、開業している弁護士は2名で、熊本県内では最も対人口比で弁護士人数が少ない弁護士過疎地域です。
私は、入所の時期の関係でわずか1週間という短い期間でしたが、中嶽弁護士と一緒に働くことができ、その温かい人柄や仕事への熱心な姿勢に触れることができました。奥様とともに二人三脚で事務所をやっていくとのことですが、新天地においても活躍されるものと確信しています。
あさかぜ基金法律事務所は、平成28年1月現在で、66期1名、67期2名、68期1名の4名の所員弁護士が在籍しており、68期はあと1名が2月に入所予定です。
3 おわりに
あさかぜ基金法律事務所は、管理委員会、運営委員会の委員の皆さま、指導担当・あさかぜ応援団など、さまざまな支援・協力を受けて、弁護士養成、事務所運営を進めています。今後とも福岡県弁護士会会員の皆様の支援をいただきつつ、これに甘えることなく、所員一同、精進していく所存です。引き続きのご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
憲法リレーエッセイ
憲法リレーエッセイ
会 員 井 芹 美 瑛(67期)
1 はじめに
あっという間に弁護士1年目が終わり、弁護士2年目を迎えました。今回憲法リレーエッセイを担当することとなり、この1年私が取り組んできた憲法に関する活動について振り返りたいと思います。
2 憲法委員会への委嘱
私は、最初の委員会委嘱で憲法委員会に委嘱されました。最初はただ議論を聞いているだけの状態で委員会に出席しており、勉強して議論についていかなきゃ!ということから私と憲法との関わりが始まりました。
3 街頭宣伝と市民集会への参加
私が委員会に参加し始めた当初、委員会では6月13日に開催される弁護士会主催の市民集会の準備の最中でした。集会の成功に向けて、執行部や委員会の先生が街頭に出てちらしを配り、集会への参加を呼びかけていらっしゃいました。私もちらしを配っていたところ、急遽マイクを持って話をすることになりました。恥ずかしながら、緊張し過ぎた私は、ちらしに書いてある内容を読み上げることしかできませんでした。
集会当日は一参加者として家族と一緒に参加しました。始めて憲法集会に参加したのですが、市民会館が満員になるほど人が集まっており、集会後のパレードの参加者も多く、多くの市民の方々が安保法に反対しているのだと実感しました。
4 立憲デモクラシーの会のパネリスト
2015年11月29日、憲法学・政治学などの学者の方々が主体となって立ち上げた立憲デモクラシーの会が開催したシンポジウムで、私がパネリストの1人として参加することになりました。まさか私が憲法や安保法について沢山の人の前で話すとは思っていませんでしたので、何日も前から緊張して仕方ありませんでした。シンポジウムは斉藤芳朗会長の開会の挨拶から始まり、憲法学の阪口正二郎先生(一橋大学)、政治学の中野晃一先生(上智大学)の講演と進み、パネルディスカッションの時間になりました。私は不安と緊張でお腹が痛くて仕方なかったのですが、一緒にパネリストとして参加した当会会員の村井正昭先生や、安保関連法に反対するママの会@福岡の宮下彩さん、Fukuoka Youth Movementの熊川果穂さんに助けられ、福岡で取り組んでいる安保法制反対運動について報告し、今後どのような取り組みができるか議論をしました。ママの会の宮下さんや、FYMの熊川さんは、これまで特別政治に関心があったわけではないけれど、集団的自衛権行使を容認する閣議決定がなされたことを受けて、何か行動しないといけない!と考えて行動を始めたとのことで、とても熱い気持ちを持って積極的に行動されています。ママの会は、「だれの子どももころさせない。」というスローガンで、安保法制反対運動に取り組み、ママたちが自分たちの問題だと考えて活動を始め、今では街頭に立つことが日常の一部になっているそうです。また、FYMの学生達も戦争に行くのは自分たちかもしれない、自分の友達や恋人など身近な人かもしれない、と自分自身の問題だと捉えて、後悔しないために今、行動しているそうです。安保法制が成立してしまって意気消沈している場合ではない、大事なのは可決されても使用させないこと、そして廃案に向けての行動が必要であって、そのためには一人一人が声を挙げていくことが必要なんだ、ということを再確認する場となり、私もとても刺激を受けました。
5 さいごに
2015年12月17日、弁護士会主催で安保法に反対する市民集会を開催し、その際は準備段階から関わることができました。また、現在も3月19日(安保法成立から半年)に福岡県弁護士会主催での企画の準備が進んでいるところです。最初はただ参加しているだけで何の力にもなれませんでしたが、徐々に企画から携わることができるようになり、まだまだ勉強中ですが少しずつでも成長しているのかな、と自分で考えたりしています。
この1年、憲法問題に取り組んできて、今、憲法、立憲主義が直面している問題について、自分の中で考え、行動していくことが必要なんだと感じています。これは弁護士として法に携わっている以上、避けてはいけないことだと考えています。これからも私に出来ることは小さなことだと思いますが、一弁護士として、そして弁護士会の会員として、市民の方々と一緒になって行動していきたいと考えています。