福岡県弁護士会コラム(弁護士会Blog)
2015年11月号 月報
弁護士による行政ホットライン秋の大相談会(9月12日)
月報記事
行政問題委員会委員 弁護士 岩 田 篤 典(66期)
1 はじめに
行政問題委員会では、定期的に「弁護士による行政ホットライン」を実施しており、年に2回春と秋には大相談会として午前11時から午後3時までの4時間の枠を設けています。私は、今年の4月から行政問題委員会の委員となり、今回初めて行政ホットラインに参加させていただきましたので、「弁護士による行政ホットライン秋の大相談会」を中心に、行政問題委員会の取組みをご報告いたします。
2 行政問題委員会の活動
平成17年の改正行政事件訴訟法の施行や原告適格や処分性を広く解する裁判例の集積等により、行政に対する不服申立ての利用が活性化しつつあります。行政問題委員会では、行政事件訴訟法、行政不服審査法等の活用を通じて、国民の権利利益の実効的な救済及び適法な行政の確保を実現すべく、行政事件に取り組むマンパワーの強化、「行政法制度」全般の更なる改革を目指して活動しています。
そのような活動の一環として、行政問題委員会は今回ご報告する「弁護士による行政ホットライン」の実施や、行政法制度改革に関する検討、行政実務研究会の開催等を行っています。
3 「弁護士による行政ホットライン」
前述のとおり、行政問題委員会では定期的に「弁護士による行政ホットライン」を実施しています。行政ホットラインとは、市民の皆様からの行政に対する疑問や不服に関する相談を弁護士が無料で受け付けるというものです。相談の方法は電話相談と面談相談の2つがあり、行政問題委員会の委員が交代で対応しています。
行政ホットラインの実施時間は通常は午後3時から午後5時までの2時間ですが、春と秋の大相談会は午前11時から午後3時までの4時間となっています。
4 行政ホットラインでの相談内容
行政ホットラインには手続などに関する行政の窓口対応に対する一般的な疑問をはじめとして、行政処分等に対して不服申立て等の対応を要するものまで、様々な相談が寄せられます。それらに関連して、行政の保有している情報の開示手続等に関する相談もあります。
行政ホットラインでは、これらの相談に対して、相談を受けた時点での今後の見通しや当面行うべき対応について、まず相談を担当した委員がアドバイスを行います。その後、相談を対応した委員が行政問題委員会で相談内容を報告し、行政問題委員会においてアドバイスが適切だったか等の再検討を行います。後日、相談を担当した委員からアドバイスを補充する連絡をすることや、行政問題委員会の委員が事件を受任することもあります。
5 平成27年度弁護士による行政ホットライン秋の大相談会について
平成27年9月12日に、行政ホットライン秋の大相談会が開催され、委員7名で対応しました。同日は、「近隣住民が反対しているのに施設の設置認可がされようとしている」、「行政の不作為に対して訴訟提起をしたい」等多岐にわたる相談が寄せられました。
行政ホットラインでは、行政に対する強い憤りの感情を抱えた相談者の方が多く来られます。行政問題委員の先生方はそういった相談者の方に対しても冷静かつ的確なアドバイスをされ、時には「その主張を通すことは法律的には難しい」といったアドバイスを相談者の感情に配慮しつつ伝えておられました。今回初めて行政ホットラインに参加したのですが、普段見ることのできない他の事務所の先生方の法律相談の様子を見ることができ、大変勉強になりました。
「国際仲裁セミナー」開催のご報告
月報記事
国際委員会・中小企業海外展開法的支援プロジェクトチーム委員
浜 田 宏(57期)
1 はじめに
月報8月号でご案内致しました、日本弁護士連合会主催・福岡県弁護士会共催の「国際仲裁セミナー」を、去る平成27年9月25日(金)に開催いたしましたので、ご報告申し上げます。
本セミナーは、弁護士、企業法務担当者等を対象として開催された無料セミナーであり、約100名程度のご参加を予定しておりましたが、後援機関による広報活動へのご協力を頂くことができ、事前に108名もの参加申込を頂き、当日も91名(弁護士53名、企業関係者27名、その他11名、実行委員会関係者を除く)もの方にご参加頂くことができました。
2 講演「国際商事仲裁の基礎知識と活用戦略~新興国取引・投資を視野に入れて~」
本セミナーは二部構成で開催され、第一部は、日弁連法律サービス展開本部国際業務推進センター・国際商事投資仲裁ADR部会委員である早川吉尚弁護士(立教大学教授)による講演「国際商事仲裁の基礎知識と活用戦略~新興国取引・投資を視野に入れて~」が行われました。
講演は、早川先生の豊富な学識と実務経験に基づく大変中身の充実した濃い内容でした。まず、新興国投資におけるリスクと法務戦略の必要性という観点から、新興国においては法的インフラ(法制度、裁判制度等)が未整備であったり、信頼性を欠くものであることも少なくなく、法的リスクヘッジ手段として国際仲裁法制を戦略的に利用することが有意義であることを強調された上で、国際仲裁法制についてわかりやすくご説明頂きました。国際商事仲裁の利点として、「国際的中立性」「専門性」「手続の柔軟性・迅速性(控訴審がない)」「秘密性(紛争の存在自体を秘密にできる)」「国境を越えた執行可能性(ニューヨーク条約の存在)」が挙げられ、具体的にご説明頂きました。問題点として、裁判では必要とされない仲裁人の報酬が負担となるのではという懸念については、国際商事紛争の解決におけるコストの大部分は弁護士報酬であり、仲裁手続の迅速性を考慮すれば、早期解決出来る場合には裁判手続よりも低いコストで解決できる場合もあるとご説明を頂きました。また、仲裁手続を利用するには当然ながら仲裁合意が必要ですが、その仲裁地の選択についても事前に十分な検討が必要であること、例えば、新興国を仲裁地とした場合、仲裁判断を現地裁判所により取り消されるリスク(仲裁合意の不存在、公序良俗違反等を理由とする)があること等についても詳しくご解説頂きました。
そして、前述したリスクに鑑みれば、新興国投資においては、投資対象国以外の仲裁機関、とりわけ主要仲裁機関(ICC、AAA、SIAC、JCAA、CIETAC)、及びインド、ベトナム、インドネシア、ロシアといった、幅広い新興国の仲裁機関の実情等についてご説明頂きました。
さらに、国家による事後規制によって海外投資主体が損害を蒙ることがないよう、国家間で投資保護協定が締結されることがあり、同協定に基づく投資協定仲裁の戦略的活用についてもご解説頂きました。
講演時間は約70分と非常に限られた時間でしたが、上記の通り非常に高いレベルのお話しをわかりやすくお話し頂くことができ、参加者にご記入頂いたアンケートでも「基本的な部分も含め、仲裁の方法、メリットをご教示いただき、非常にわかりやすかったです。」「国際商事仲裁に関する実務的知見が得られて有益だった。」「内容満足です。やはり、きちんと研究している方の話はレベルが高いです。」といった高い評価を頂きました。
3 パネルディスカッション
第二部は、早川先生に加え、国際仲裁のご経験が豊富なジェイコブソン・クリス弁護士(福岡県弁護士会)、既に海外展開をされている企業パネリストとして、鶴田直氏(環境テクノス株式会社代表取締役社長)、重光悦枝氏(重光産業株式会社代表取締役副社長)の4名パネリスト、及び紫牟田洋志弁護士(福岡県弁護士会国際委員会委員)をコーディネーターとして、パネルディスカッションを行いました。
パネルディスカッションでは、早川先生の講演を踏まえて、会場からのご質問や、企業パネリストの方からのご質問に、早川先生やジェイコブソン先生から的確な回答を頂くことができました。また、ジェイコブソン先生からは、仲裁のご経験に基づく事例のご紹介を頂き、アンケートでも「ジェイコブソン弁護士の事例の紹介はとても参考になった。」とのご意見を頂くことができました。
4 おわりに
本セミナーは、日弁連国際業務推進センターから開催のご提案を頂き、他の地域に先駆けて福岡で開催されたものです。今回のセミナーでは、前述の通り、参加者の方から大変ご好評を頂くことができました。特に企業参加者の方からは、「元々、福岡ではこのレベルのプロ(弁護士、企業実務家)向けのセミナーが全くないので、各種テーマで定期的に開催を強く望みます。(特に法務関係・国際法務関係が全くない。)よくあるのが『地方だから入門レベルで良いだろう』というセミナーですが、そのようなものは一切求めていません。実務者は、東京だろうが地方だろうが、高いレベルのセミナーを求めています。」とのご意見も頂いております。企業法務、とりわけ国際法務分野では、弁護士のアウトリーチ拡大の一環としても、地方におけるセミナー等を通じた高いレベルの情報提供・啓発活動の必要性を痛感致しました。また、高いレベルの司法サービスを提供するためには、地方の弁護士も渉外分野における最新の知見について深く学習することが不可欠であり、そのための機会を多く設ける必要性が高いことを強く感じました。
◆憲法リレーエッセイ◆ 「憲法問題への関心を高めるために~安保法制論議から見えたこと」
憲法リレーエッセイ
会 員 向 原 栄大朗(60期)
1 はじめに
去る平成27年9月19日、平和安全法制関連2法(以下、安保関連法)が成立し、同30日に公布されました。
安保関連法が成立する直前には、国会前をはじめとした全国各地でのデモがテレビや新聞でも大々的に報道され、市民の関心も最高潮に達しました。
しかしながら、安保関連法について、現政権は、一昨年の衆院選において、その成立を堂々と公約化していました。そのころは、特定秘密保護法が問題となっていたものの、これも市民において殆ど関心を持たれていませんでした。ですから、私は、一連の報道を見て「どうしてもっと早く、この問題についての関心が高まらなかったのか」と強く感じました。なぜなのでしょうか。
2 この問題についての関心が高まらなかった理由
特定秘密保護法にせよ、安保関連法にせよ、要するに「どうなるのか、どんな影響があるのか」という「結論」が、一般市民にとって理解しやすい形で早期に示されなかったことに最大の原因があると考えます。
もう一点、我が国では、憲法論議、なかんずく改憲問題が、あたかもタブーのごとく扱われたことも無視できません。このため、市民にとって、憲法問題は「触れにくいもの、触れてはいけないもの」という意識が蔓延していたように思います。そのため、市民が憲法に触れる機会がなく、今回の安保関連法に関する市民のアンテナが立つのが遅れたものと思われます。
3 市民の憲法に対する関心を高めるために我々が考えるべきこと・すべきこと
とかく、われわれ弁護士は、憲法論議を、理屈から考えがちです。しかし、市民にとって関心があるのは、上記の通り、要するに「どうなるのか、どんな影響があるのか」という部分ですから、その部分に、各市民にとっての利害関係を感じてもらわないと、関心を持ってもらえません。依頼者が弁護士に依頼するときと同様、人は、危機を感じないと動かないものであり、あたかも、弁護士が「転ばぬ先の杖」を叫んだところで、煙たがられるのに似ています。
その中で、我々がなすべきことは、憲法問題について「わかりやすく」「自らの利害にかかわる」ことを、市民に伝えることしかないと考えます。
そのために、弁護士会では、市民集会を大々的に開いたりしています。しかし、これも、結局は「もともと関心のある人向け」の、いわば内向きのものにすぎず、「普通の市民」の関心を高めるものになっているかというと、強い疑問があります。
決してこうした市民集会を否定するつもりはないのですが、こうした「内向き」さが感じられるイベントには、市民は、入り込みにくいものです。その結果、形式ばった大々的な市民集会では、「本当の市民」が置き去りにされ、開催者・参加者の自己満足に堕しているようにも感じられます。
私は、市民に本当に関心を持ってもらうためには、草の根での活動こそが、重要ではないかと思います。
そこで、たとえば、法教育において憲法の話を積極的に取り入れることも一つの方法ですし、また、私もかかわらせてもらっている「明日の自由を守る若手弁護士の会(通称「あすわか」)が行っている市民向け憲法講座「憲法カフェ」において、様々な角度からの憲法講義をさせていただいています。
4 さいごに
憲法12条前段には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、『国民の不断の努力』によって、これを保持しなければならない。」と定められています。しかしながら、『不断の努力』は、憲法に対する正当な関心の上に初めて意味をもつものと考えます。そのために、私達は、法律のプロとして、市民に正しく理解する機会を持ってもらう方法と戦略を、真剣に考え続ける必要があると考えます。
あさかぜ基金だより ~諸先生方より学んだこと~
月報記事
弁護士法人あさかぜ基金法律事務所
弁護士 西 村 幸太郎(66期)
事務所経営に関する勉強会について
当事務所は、弁護士過疎偏在問題に取り組む事務所です。その一環として、来年1月には、当事務所の中嶽修平弁護士が、熊本県人吉市で独立する予定です。弁護士過疎偏在を解消する一助になると確信しています。
中嶽弁護士は、開業準備に奔走中ですが、その姿を目の当たりにしている私たち所員も、この機に、弁護士過疎地域に赴任後、あるいは独立後を見すえ、一緒に、広い意味での事務所経営の勉強をしていこうと思い、さまざまな勉強会を行ってきました。
事務所経営については、各事務所で、創意工夫を凝らして、取り組んでいるところであると思います。先輩弁護士のお話もうかがいながら、自分なりに、事務所経営について、深めているところです。以下では、思いつくままですが、とくに印象に残っている学んだことについて、記載してみます。
事務所経営を学ぶ意義について
なぜ、事務所経営について、学ぶ必要があるのでしょうか。
ある先輩弁護士はこう言います。弁護士は、社会正義の実現のため、成し遂げたい本懐があるはずだ。これを全うするための手段としても、経営をしっかり行うことは、重要なのだと。
またある先輩弁護士はこう言います。経営者の悩みが分からない者には、依頼は来ないと。特に、中小企業のオーナーが依頼者である場合などは、自分の事務所の経営もできていないような弁護士に、依頼したいと思うだろうかと。
そもそもの、経営を学ぶ意義についても、さまざまなとらえ方があることが分かりました。自分も、しっかりと考えていきたいと思いました。
具体的な人に向けた働きかけの重要性について
抽象的・理念的なことから、個別具体的な広報活動まで、さまざまなことを学びましたが、広報の在り方として、共通していると感じたのは、抽象的な誰かではなく、ある特定の具体的な人をイメージしながら、営業活動・広報活動をすべきだということです。
目の前の依頼者に対しては、当然、その人に対して全力でぶつかっていくべきです。これは、広報活動でも同じです。たとえば、現在、ホームページは、情報発信のための、1つの媒体として、浸透しています。このホームページの在り方1つをとっても、とにかく全般に向けたホームページより、法人なら法人、個人なら個人、経営者なら経営者、従業員であれば従業員、男性であれば男性、女性であれば女性といったように、メッセージを届けたい相手を具体的にイメージし、その人に向けた、その人に語りかけるような内容を目指すことにより、感銘力が異なってきます。もちろん、営業活動においても同様で、目の前にいる人に応じ、相手が何を求めているのか、どのような人に、どのようなことを依頼したいと思っているのかをイメージした、個別具体的なやり取りによって、目の前の人の心を掴んでいき、関係を築いていけるのだと思います。
あるべき弁護士像、事件との向き合い方について
私たち弁護士は、ゼネラリストでありスペシャリストであるべきだ。
私が、今後、胸に留めて活動していきたいと思った言葉です。つまり、弁護士として、どんな依頼にでも、一定程度は対応する能力が必要であるとともに、(少なくとも)実際に受任した事件については、高度の専門性をもって対応できるよう、研鑽を積まなければならないということです。それが、1つ1つの事件に、真摯に取り組むということでもあると思い、大変胸に響きました。そして、結局は、そうした積み重ねこそが、次の依頼を引き寄せていくのだということです。
思いつくままに、これまで学んできたことを述べてきましたが、これを実践できるかということこそが、問われていると思います。これらの教えを大切にし、自分でもしっかり考えながら、1日1日を大切に、今後も、精進していく決意です。
引き続き、よろしくお願いします。
「転ばぬ先の杖」(第20回) 暴力団等反社会的勢力との関係遮断の方策について
月報記事
民事介入暴力対策委員会委員 藏 健一郎(55期)
暴力団等の反社会的勢力に対する規制強化の一環として、各都道府県で続々と暴力団排除条例が制定されたことは周知のとおりです。条例の内容は各都道府県により様々ですが、多くの条例では、暴力団側だけでなく、一般事業者側の行為も規制の対象となっている点に注意が必要です。
例えば、福岡県暴力団排除条例では、一般事業者に対して、暴力団員等への利益供与を禁止する規定が設けられています。具体的には、同条例第15条において、一般事業者が暴力団員等に対し、(1)暴力団の威力を利用する目的で金品等の利益を供与すること、(2)行う事業に関し、暴力団の活動または運営に協力する目的で、相当の対償のない(取引の対価に見合わない)利益を供与すること、(3)行う事業に関し、暴力団等に対し、情を知って、暴力団の活動を助長し、または運営に資することとなる利益の供与をすること、等が禁止されており、(1)に違反した場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則が設けられ、(2)に違反した場合も、罰則規定はないものの、公安委員会の是正勧告の対象となるうえ、正当な理由なくこれに従わない場合には公表できることとされています。
暴力団側だけでなく、一般事業者側も規制、処罰の対象とされた理由は、暴力団側のみの取り締まりでは限界があり、活動資金のもとである事業者からの資金供給を絶つことが効果的という観点によるものです。しかしながら、裏返していうと、一般事業者が暴力団側の威力に屈して利益の供与(例えば、不当に高額な商品の購入)に及んだケースでも、単純に被害者として同情されるとは限らず、場合によっては勧告・公表の対象になるわけですので、一般事業者にとって非常に怖い一面もあります。
このように、現状では、暴力団等反社会的勢力と関係をもつこと自体が、事業存続にとって大きなリスク要因となってきているといえます。事業者の皆様方におかれては、このことを念頭におかれたうえ、(1)暴力団等反社会的勢力との関係を予め遮断するよう今まで以上に注意を払うとともに、(2)仮に取引先が暴力団等反社会的勢力であることが後日判明した場合は、速やかに取引を解消できる措置を予めとっておくことが必要と考えられます。
暴力団等との関係を事前に遮断するための方策としては、事業所内部における社員教育の徹底、不当要求責任者講習の受講の他、顧問弁護士制度等を活用し、日常的に外部の専門家と連携しておくことも有効です。また、何か問題が生じた場合は、早期に関係各機関(警察、暴力追放運動推進センター、弁護士等)に相談することが重要です。
一方、事後的に取引先が暴力団等であることが判明した場合の方策としては、取引契約書にいわゆる暴力団排除条項を予め設けておくことが効果的です。取引契約書の中に、(1)暴力団等反社会的勢力との取引を予め拒絶する旨の規定や、(2)取引が開始された後に相手方が暴力団等反社会的勢力であることを知った場合は、契約を解除してその相手方を取引から排除できる旨の規定(これらの規定が暴力団排除条項と呼ばれます)を設けておけば、速やかな取引解消のための大きな武器となります(前述した福岡県暴力団排除条例でも、当該条項を導入することが事業者の努力義務として規定されています)。
具体的な暴力団排除条項の作成にあたっては、各業界団体で作成されているひな型を参考にされてもよいですし、弁護士に個別に相談頂ければ、事業内容や実情に応じた適切なアドバイスが可能ですので、気軽にご利用頂けたらと存じます。