福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2015年9月号 月報
ITコラム 「無料でできるメール誤送信対策」
月報記事
会 員 壹 岐 晋 大(65期)
1.はじめに
依頼者とのやりとりや会務など、メールでの連絡は頻繁になされています。その中で怖いのがメールの誤送信。典型的なものとしては、宛先を間違える、添付ファイルを間違える、「Bcc」で送るはずが「cc」で送ってしまうなどがあります。これらは守秘義務違反や情報漏洩等の責任問題に発展する場合も有り得ます。
メール誤送信対策については有料のソフト等を利用されている方もいると思いますが、今回は無料でできる範囲でのメールの誤送信対策についてまとめてみます。
ちなみに、一般社団法人ビジネスメール協会が発表している「ビジネスメール実態調査2015」によれば、ビジネスメールの送受信でもっとも利用されているメールクライアントは、Outlook(31.47% ちなみに2位はGmailの31.27%)とのことだったので、下記に述べる手順についてはOutlookのみ記載します(Outlook2010での手順です)。
その他のクライアントでも設定できる場合もありますので、参考にしていただければと思います。
2.対策(1)【送信フォルダに一旦預ける】
メール送信後に誤送信に気づくことは多いです(送信前に気づけば送りません。当たり前です。)。そこで、メッセージを一度送信フォルダにあずけて、再度チェックした上で送信をするという対策が考えられます。実際に送信前にチェックするということは有効な誤送信対策といえますが、面倒ではあります。
(手順)
設定時:「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」→送受信「接続したら直ちに送信する」というチェックを外す
送信時:「送受信」タブから「すべてのフォルダを送受信」
3.対策(2)【オートコンプリート機能を無効にする。】
アドレスを途中まで入力すると、自動的にアドレスが全て表示される機能があります(オートコンプリート機能)。非常に便利な機能ではありますが、宛先間違いによる誤送信のもとです。全会員への誤送信回避のためにも「all」などから始まるアドレスを使っている知り合いがいる方は要注意です。
これと似た対策としては、アドレス帳の登録名を分かりやすくしておくというのは有効です。
(手順)
「ファイル」→「オプション」→「メール」→「メッセージの送信」「宛先、CC、BCCに入力するときにオートコンプリートのリストを使用して名前の候補を表示する」のチェックを外す
4.対策(3)【遅延送信】
対策(1)と似たものですが、送信ボタンを押して、1分から数分程度、送信をキャンセルできるように設定しておけば、誤送信が防げる場合があります。ちなみにGmailにも30秒送信を取り消せる機能があります。
(手順)
「ルール」→「仕訳ルールと通知の管理」→「新しい仕訳ルール」→「送信メッセージにルールを適用する」→「次へ」→「次へ」→「はい」→「指定した時間分後に配信する」にチェック→「指定した時間」→「1分後」に設定→「次へ」→「次へ」→名前を入力→「完了」→「OK」もしくは「適用」
5.その他対策
以上、代表的な対策を3つほど紹介しましたが、その他にも
- CCを使うときは、文中に「Cc:○○様」と記載する。
- 「Outlook宛先確認アドイン(拡張機能)」を入れて、メール送信時に宛先を確認するダイアログを表示する。
- ファイルの添付にはパスワード付きのZIP圧縮ファイルを使用する。
- 月報に誤送信についての記事を書いて自らプレッシャーをかける。
などの対策も考えられます。
ちなみに、私はThunderbird(上記実態調査3位:11.07%)を使っていますが、「Check and Send」というアドインを入れています。これは、(1)事前に指定しておいた単語(「添付」等)がメッセージ中にあり、添付ファイルがない場合、(2)事前に指定しておいた単語がメッセージ中にある場合、(3)宛先がアドレス帳にある(ない)場合等に、確認メッセージがでるように設定ができます。 それでも、メールの誤送信をしてしまった場合は、当たり前ですが速やかに削除を依頼することが重要になると思われます。