福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2015年4月号 月報
ITコラム VPNのご紹介 (仮想プライベートネットワーク)
月報記事
IT委員会委員 緒 方 剛(57期)
IT委員会の隠れ委員の緒方です。本稿では、会員の皆様の業務に多少とも参考になるお話をさせていただきたいと思います。
私が利用しているもので、他の会員の先生にも一定の利用価値があると思われるVPN(Virtual Private Network仮想プライベートネットワーク)を利用した業務方法についてご紹介させていただきます。
既に、VPNをご利用になっておられる会員の方もおられるかもしれませんが、今のところ私の周囲にはあまりご利用になっておられる会員の方はいないようです。簡単に言えば、インターネットを使って、事務所内のパソコンやサーバーに接続し、事務所外のパソコンから遠隔操作で書面等のデータを取り出したり、修正、加工などを外部から直接行えるようにする技術と言ってよいかと思います。
ウィキペディアによると、VPNとは「インターネットのようなパブリックネットワークを跨ってプライベートネットワークを拡張する技術である。VPNによってコンピュータはパブリックなネットワークを跨って、まるで直接接続されたプライベートネットワークにつながっているかのようにプライベートネットワークの機能的、セキュリティ的、管理上のポリシーの恩恵を受けつつデータを送受信できる。これは2つの拠点間で、専用の接続方法や暗号化を用いることにより仮想的な接続をつくり上げることで実現される。」と表現されています(出典:ウィキペディア)。
さて、技術的なことはさておき、どのような場面でこのようなことを行うと便利なのかということについて述べます。例えば、出張などで一定の時間事務所から離れる場合に、移動時間など余裕のある時間に仕事をしたいと思う場面があろうかと思います。出張先で使う記録以外の訴訟記録などの資料を、出張先に持ち運ぶとすればそれなりに大変です。ただでさえ、出張に重い記録を持っていくのに、これに加えて別の記録を持っていくのは気が重くなりますよね。
そこで、まず出張先で見たいなと思うような資料を事務所内のサーバーやパソコンに電子データとして保存しておきます。そして、出張先に持ち出したノートパソコンやタブレットから事務所のサーバー等に接続し、読み出せるようにしておくのです。このような下準備だけをしておけば、重たい記録を運ばなくてもインターネット経由でVPN接続をし、書面等の閲覧や加工・修正ができるようになります。
ただ、VPNの設定をするのは私でも業者さんにお願いしていますので、VPNの設定までする気はおきないという方もおられるかもしれません。そこで、私がたまに利用するのは、使用したいデータを自己宛にメールにて添付ファイルで送付しておくという方法です。もちろん、大量の資料を送付することは困難ですが、何種類かのファイルさえ見られれば一定の仕事ができるという場合には、自分のパソコンでなくても仕事が出来ますので、出張先では重宝する方法です。
外出先で、大量の資料をPDFファイル等で閲覧したい場合には、インターネットディスクやクラウドストレージサービスなどインターネット上にてファイルを保存するという手段もあります。(これらの詳細は本稿の目的ではありませんので説明は割愛いたします。)この場合も、事前にクラウド等にデータをアップロードしておかなければなりませんが、それさえしておけば世界中のどこにいても大量のファイルの閲覧・加工・修正が可能です。
皆さんも、出張時にはこれらのサービスを試してみませんか。