福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2014年7月号 月報

給費制維持緊急対策本部だより ~日弁連の会議に出席してみての感想~

月報記事

会 員 中 嶽 修 平(66期)

はじめに

去る5月27日、日弁連会館にて開催された給費制対策本部会議に、市丸健太郎委員の代理として出席しました。当会からは、私の他に、鐘ケ江啓司委員、髙木士郎委員が出席し、千綿俊一郎委員がTV会議で出席しました。

給費制対策本部会議は、月2回のペースで開催されており、他の日弁連会議と比較しても、その回数は多く、日弁連の中での関心の高さがうかがえます。そのため、遠方ながら出席している委員もおり、活発な議論が繰り広げられていました。

事前打合せ

給費制対策本部会議は、午後5時からですが、それに先立ち、午後4時から事前打合せが開催されています。事前打合せは、TV会議では中継されていません。そのため、給費制対策本部会議に出席することの意義は、まさに、この点にあるのだと思いました。

今回の事前打合せでは、貸与制の問題を、司法修習との関連で新たな視点から訴えることはできないか、ということについて議論しました。丁度、私が66期で貸与を受けていたことから、司法修習の現状や、貸与制に対する感想や不便さなど、貸与制の下で修習を行った弁護士の声を届けることができたのではないかと思います。ただし、貸与制の問題を司法修習と関連づけて議論することは、司法修習自体の問題にもなってしまうことから、今回の事前打ち合わせでは結論は出ませんでした。次回以降の事前打合せに期待します。

給費制対策本部会議

給費制対策本部会議は、TV会議を利用して、各地の委員も参加して、活発に議論が繰り広げられました。

まず、最高裁判所関係について、司法修習中の交通費・住居手当だけでも推進室に提案してもらえないかと、要望しているが、実際には厳しい状況であるとのことでした。というのも、67期司法修習生からは、経済的支援として移転費が支給されていますが、その予算を獲得するにあたり、財務省から相当厳しい注文があり、結果的に、最高裁が詰め腹を切らされるような事態になったからだそうです。

次に、自民党の動きとして、修習生に対する経済的支援についての提言が、平成26年7月末に出る予定でしたが、それが平成26年度末まで延期になりました。自民党内の文科部会で法科大学院の見直しPTが立ち上げられ、その中で法科大学院生に対する給付型奨学金を求めるなどの動きが起こっており、法科大学院制度の問題と給費制の問題とをセットで検討する必要があるためとのことでした。

給費制本部としては、予備試験、法科大学院ともに、最終的には司法修習に来るということ、法科大学院の問題とセットになると給費制の問題が後回しになるおそれが高いことから、法科大学院の問題と給費制問題がセットで論じられるのはおかしいという議論がされました。

今後、各地で市民集会が開催される予定ですが、自民党の修習生に対する経済的支援についての提言が平成26年度末に延期されたため、テーマやスローガンなどについてもその練り直しの必要性がでてきました。

おわりに

実際に会議に参加し、改めて、財務省のハードルの高さを痛感しました。給費制の問題は、予算措置を伴うことから、政治家や財務省を動かす必要がありますが、そのためには、市民集会などを通じ、国民の支持を得て、政治家に訴えかけていかなければなりません。

給費制問題の解決まで、まだまだ、先は長いですが、粘り強く取り組んでいきたいと思いました。

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