福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2014年6月号 月報

給費制本部だより 「4.15院内集会のご報告」

月報記事

会 員 石 井 衆 介(66期)

1 はじめに

平成26年4月15日、参議院議員会館1階講堂において、ビギナーズ・ネット等共催のもと、日弁連主催の「司法修習生への給費の実現と充実した司法修習を求める院内集会~給費の実現へ『国民の理解は得られています!』~」が行われました。

今回私は、給費制本部本部長代行の市丸信敏先生、同本部委員の髙木士郎先生、鐘ヶ江啓司先生と共に、同集会に参加させていただきましたので、その模様をご報告させていただきます。

2 院内集会の概要

今回の集会には、衆参両院から61名(本人出席21名、代理出席40名)の国会議員が参加されました。さらに日弁連関係者、各種支援団体代表者の方々など多数の参加があり、その合計数は180名を超えました。このことは、給費制廃止に対する注目度の高さを象徴しているといえます。

集会の進行について簡単にご説明します。

まず初めに第65期弁護士の野口景子先生より、貸与制経験者の立場から、司法修習生の実情についてご報告がありました。先日フジテレビの番組「ニュースJAPAN」内で放送された映像を用いながらのご説明であり、参加者の方々にも、司法修習生の窮状をよりリアルに感じ取っていただけたように思います。

その後、日弁連の村越進会長のご挨拶により開会し、続いて前回の院内集会同様、参加された国会議員の方々に、給費制の問題について、個別のご発言をいただきました。さらに、ビギナーズ・ネットによって給費制復活にご賛同いただけた各団体の紹介がなされ、公害・地球環境懇談会の小池信太郎代表幹事からも、給費制復活に向けた温かいメッセージをいただきました。

3 国会議員のご発言等

今回何よりも特徴的だったことは、国会議員の方々のご発言だけで、院内集会の終了予定時刻となってしまったことです。それほど多くの方々が、給費制が廃止された現状に問題を感じておられるということであり、同時に、発言時間が長くなったことは、お一人お一人が、この問題の解決に向けて強い意欲をお持ちであるということの表れでもあるといえるでしょう。

司法修習生や若手法曹の経済状況等ミクロな観点からだけではなく、法曹志願者の激減や国際的な司法戦略というマクロな観点からも、多数の問題点が指摘されました。もはや、司法修習生に対する何らかの経済的支援が必要であることは、集会参加者の共通認識であったといえます。

また、与野党を含めた複数の議員から、超党派による解決が繰り返し指摘され、国会における問題意識と給費制復活への声が着実に広がっていることが実感されました。

既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、院内集会の直前である平成26年4月9日、公明党法曹養成に関するプロジェクトチームが、法曹養成に関する緊急提案を発表しました。同提案では、司法修習生に対する経済的支援の必要性についても明言されており、「修習手当」制度の創設をも選択肢に含めた抜本的な改革が要請されています。

一方自民党も、同日、自民党政務調査会及び司法制度調査会・法曹養成制度小委員会合同会議が、法曹人口・司法試験合格者に関する緊急提言を発表しましたが、同提言では、そのタイトルからも明らかなとおり、主に司法試験の合格者に関する検討がなされ、司法修習生への経済的支援については触れられていません。そのため、自民党の給費に関する今後の方針には注目が集まっていました。

そんな中、自民党の司法制度調査会の事務局長代理も務めておられる宮崎政久衆議院議員から、同調査会は、既に残された司法制度の諸問題についても検討する準備に入っているとの心強いご発言をいただきました。

福岡県選出の国会議員としては、原田義昭衆議院議員及び仁比聡平参議院議員のお二人に、ご発言をいただくことができました。特に仁比議員は、国会議員のご発言のトリとして、債権回収に怯えることになる若手法曹や携帯弁の例を挙げながら、給費の問題は日本の司法のあり方にかかわる重要課題であると熱弁されており、給費制復活にかける思いを強く感じられました。

今後、国会において、給費制に関する議論がますます活発になることが期待されます。

4 おわりに

以上のとおり、院内集会に参加していると、給費制復活に向けた各種取り組みが、少しずつ実を結び始めているのではないかと感じられます。また、弁護士会以外の諸団体の方々の間でも、給費制への支援は確実に広まっています。

当会会員の先生方におかれましても、今後の展開を見守っていただきますとともに、引き続き変わらぬご支援の程よろしくお願い申し上げます。

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