福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2012年10月号 月報

ジュニア・ロースクール2012報告

月報記事

会 員 日 浅 裕 介(63期)

1 はじめに

平成24年8月18日(土)に、西南学院大学法科大学院にて、ジュニア・ロースクール(以下「JLS」といいます。)が開催されましたので、報告致します。

JLSは、法教育委員会の目玉イベントとして、主に中高生を対象として、毎年この時期に行われていますが、私は、本年度から委員を委嘱されたため、初めての参加となりました。

今年は、小学生1名、中学生18名、高校生10名、大学生1名と幅広い年齢層の参加となり、他に保護者の方など17名のご出席があり、弁護士は15名が出動しました。また、弁護士会の職員の福井さんと中山さんにも当日の応援をしていただきました。


2 模擬裁判

まずは、司会の山本聖先生から、開校のご挨拶があった後、当会の古賀和孝会長と梅崎進哉西南学院大学法科大学院長のご挨拶があり、その後、早速、模擬裁判がスタートしました。

模擬裁判の事件の概要は、被害者のおばあさんが、バイクに乗った若い男からひったくりにあって、金を盗まれた上、けがをしたと主張する一方、被告人は、何もしていないし知らないといって犯人性を否認したという内容です。

模擬裁判では、委員の先生方扮する裁判官、検察官、弁護人、被告人、被害者、証人の迫真の演技により、緊張感がありながらも笑いの混じった素晴らしいものとなりました。特に、被害者のおばあさん役を演じた八木大和先生は、プロの俳優としか思えない名演技で、完全にホークス好きで博多弁丸出しのちょっと(かなり?)うざいおばあさんになりきっていました。参加者のアンケートでも、八木先生の演技は大絶賛されていました。


3 ディスカッションと発表

模擬裁判の後は、まずは、参加者が検察チーム、弁護チームとしてそれぞれ4班に分かれて、各班で有罪、無罪の検討をしました。私は弁護チーム班の1つを担当させていただきましたが、中学3年生と高校生のグループということもあり、鋭い視点で事実認定を試みる学生が多かったです。私も参加者と一緒に事実認定の勉強をさせていただきました。

次に、各班の検討結果を順番に発表していきました。この時点では、当然、検察チームは被告人有罪、弁護チームは被告人無罪という発表内容で、各班とも、重要な事実は共通して指摘する一方、独自の視点に基づいた発表もあり、興味深い発表でした。

今度は、検察チームと弁護チームをミックスして、裁判員チームを4班作り、最終的な結論に向けてのディスカッションをし、各班が結論を発表しました。結論は、4班とも「被告人は無罪。」でした。私が担当した班も他の班も、当初は、結論が分かれていましたが、各証拠を丁寧に検討するうちに、被告人が犯人であると断定できないという結論に達しました。

今回の事案は、被害者が所持していた現金の入っていた封筒のホッチキス穴の位置と、被告人が所持していたお札のホッチキス穴の位置及びお札の状態から、被告人の所持していた現金と被害者が所持していた現金とは同一ではない可能性が高いということが決め手になりました。


4 まとめ

発表後、山本先生から講評があり、残りの時間で質疑応答がありました。参加者の多くは、法学部や法曹を志望しており、このJLSを通じて、ますます法律の世界に興味を持ってもらえればと思いました。

最後に、当会の宮崎智美副会長から、閉校のご挨拶があり、今年のJLSも無事終了しました。夜は、弁護士と弁護士会職員とで反省会をしましたが、検察官役の横山令一先生が、模擬裁判と同様に、だんだんとヒートアップして、菅藤浩三委員長を拘束(?)して三次会へと消えて行きました。

私の感想としては、とても良いイベントだったと思いますが、今回の参加者は、進学校の学生が多かったので、今後は、いろいろな学校の学生に参加してもらうことも重要ではないかと思いました。

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