福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2012年2月号 月報
給費制維持緊急対策本部だより
月報記事
給費制本部事務局次長 高 平 奇 恵(61期)
1 はじめに給費制本部は、会員の皆様とともに、給費制維持の活動を継続してまいりました。
今後も活動は続きますが、改めて、これまでの活動の成果を確認するとともに、今後の活動予定について、ご報告させていただきたいと思います。
2 給費制本部のこれまでの活動
2010年11月26日、会員の皆様の力強い支援や、市民連絡会、ビギナーズネットの活動により、司法修習生に対し司法修習期間中に給与を支給する制度(給費制)を2011年10月31日まで延長する「裁判所法の一部を改正する法律」が国会において成立しました。
このことは、大きな成果であったとはいえ、暫定的な措置でした。給費制本部は、本来あるべき給費制の維持存続のために、決意を新たに2011年の活動に取り組みました。2011年の震災で、一時は、給費制に理解を求めることは一層困難になったかとも思えました。11月4日、政府は貸与制の下で修習資金の返済が困難な者について返還を猶予する裁判所法の一部改正案を提出しました。これに対し、公明党からは、2013年10月31日までに様々な問題点が指摘されている法曹養成に関する制度を見直し、その間は給費制を維持する等とする修正案が提出されました。いずれも12月6日の衆議院法務委員会で質疑が行われましたが、会期末の9日、継続審議となっています。
3 今後の活動
2012年も、厳しい状況は続いていますが、粘り強く活動を継続し、給費制の必要性について、なお一層理解を広げる活動を展開していく予定です。これまでの活動の中で、法曹養成制度の抱える問題点も明らかになってきています。法曹養成制度全体を見直すなかで、給費制の必要性についても、確認していきたいと思います。
ご参考までに、2011年12月22日付日弁連会長声明もご一読ください。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/111222.html
2月には、日弁連主催の集会も予定されています。また、現在、65期の修習生は貸与制のもとで修習生活を送っています。修習生が実際に直面している様々な問題が、今後明らかになることと思います。その点については、追ってご報告させていただきたいと思います。
4 結びにかえて
2011年の日本は、震災に文字通り揺れました。そんな中で、お互いを強く支え合おうとする、人々の強さや温かさを目の当たりにすることも多々ありました。
震災のような緊急事態でなくとも、人々が支え合う社会でありつづけるために、法的サービスが行きとどいていることは不可欠の要素だと思います。法曹養成に必要な制度としての給費制を維持することは、その大前提といえるでしょう。
新年を迎え、気持ちも新たに、給費制の運動を続けていきたいと思います。会員の皆様には、引き続き、ご支援、ご協力をお願い申し上げます。