福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2011年6月号 月報
法教育センター登録説明会ご報告
月報記事
会 員 渡 邊 典 子(61期)
1 はじめに平成23年4月、福岡県弁護士会内に法教育センターが設立されました。法教育センターでは、講師のあっせん等を行うため申込窓口を設置し、担当する弁護士名簿から講師を配転するシステムが整えられました。多くの北九州部会の弁護士にも登録していただけるよう、4月27日、法教育センターの登録説明会が北九州弁護士会館にて開催されました。
2 説明会の内容
登録説明会には、19名が参加されました。
説明会では、北九州部会法教育委員会の末廣委員長が、そもそも「法教育」とはなんぞやというところから説明されました。
法務省が発足させた法教育研究会が、平成16年に提出した意見書では、法教育とは「法律専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎となっている価値を理解し、法的なものの考え方を身につけるための教育を意味する」と定義づけられています。生徒・児童たちに、法律の条文や、法的な知識を学んでもらうものではないという点を強調されていました。
資料として配布された弁護士白書2010年版では、法教育は『個人が尊重される自由で公正な社会』の構成員としての市民を育てることが目標であり、そのような市民として必要な技能や知識とは、・事実を正確に認識し、問題を多面的に分析する能力、・自分の意見を明確に述べ、また他人の主張を公平に理解する能力、・多様な意見を調整して合意を形成し、また公平な第三者として判断を行ったりする能力があげられています。
3 感想
私は、先ほど・から・であげられた能力について学校で学んだ記憶がありません(教えられていたかもしれませんが、記億に残っていません。)
以前、何かの調査で、親が子どもに期待する性格について、日本では「思いやり」や「規則を守る」などが上位であるのに対し、アメリカでは、「責任感」や「正義感・公平性」が上位であることを目にしました。特に、日本では、「公平性」への意識が低い点が印象に残っていました(平成17年 子供と家族に関する比較調査概要 総務省青少年対策本部に同旨の内容が見つかりました。)
私の学生時代を振り返ると、きまりを守ることは教えられましたが、問題を解決するため事実を分析し、利害を調整してきまりを作ることや、既存のきまりを批判的に検証し、作り替えるなどの経験は乏しかったように思います。
しかし、よりよい社会を作り、その社会で主体的に生きていくには、言われたとおりにしているだけでは足りないはずです。・から・の能力を身に付けておくことは、別に法律専門家だけに必要なものではなく、社会の一員として生活していく中で、有意義なことではないかと思います。よく、法教育の目標を語るとき「生きる力を育てる」と表現されていますが、まさに、法教育の成果は生きていく糧になると思いました。
説明会では、実際の授業風景のDVDも視聴しましたが、生徒たちが積極的に楽しそうに議論している姿が印象的でした。
このような経験を重ねる中で、生きる力を身に付けてくれることを期待し、私も少しでも役に立てればと思いました。
4 おわりに
平成23年5月9日から、出前授業の無料キャンペーンの受付が始まりました。北九州エリアでもたくさんの要請があるようおおいに期待しています。私も、生徒たちと議論して、活力をいただいてきたいと思います。