福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2010年5月 1日
◆憲法リレーエッセイ◆ ―憲法劇を続けて20年―
憲法リレーエッセイ
会員 古 閑 敬 仁(43期)
今年も劇団ひまわり一座による憲法劇が5月2日、少年科学文化会館で行なわれ、数百人の観客を集め、大成功を収めた(はずです。この原稿を書いたときは、まだ4月だから‥) 私は、弁護士1年目から劇団ひまわり一座に入って、毎年、5月の憲法記念日前後に憲法劇に参加しております。
ところで、この劇団ひまわり一座による憲法劇は20年以上も続いています。憲法劇が20年以上も続いているのは、もちろん「憲法改正反対」というテーマが重要で、参加者の多くがそれに賛同してきたからであることは間違いありません。
しかし、それだけで同じ団体が、毎年ゴールデンウィークの忙しい時期に20年も続けてこれるわけはありませんし、毎年300名以上のお客さんを呼べるわけありません。
何故、続けられたか‥私は、出演者も観客も、みんなが「演劇」自体を楽しんでいるからだと思います。
憲法問題というとやはり硬いイメージがあって、一般の市民の方に「憲法問題について考えよう」という催し物をしても、最初から関心や問題意識がある人は参加されますが、そうでない方の参加はなかなか難しいのが現実です。
また、若い人たちには、憲法問題が難しく思えるだけでなく、言葉自体が分からない人も多くなっているようです。大学生に「ホシュ」とか「カクシン」とか、さらには「ゴケン」といっても、「?」という反応が返ってくることがあります。
そこで、「憲法劇」なんです。演劇であれば、とっつきやすいし、「楽しいお芝居があるから見に来ないか?」「僕も出ているから、冷やかしに来てくれ」といって、憲法問題に興味のない人にも観劇を勧めます。そして、見に来てもらって、少しでも憲法問題に関心もってもらったり、考えるきっかけになるのではないでしょうか。実際、私の母や友人たちも、私が出演しているので、毎年見に来てくれ、見終わった感想で「こんな問題もあったんだ」といってくれています。
と、偉そうなことを書きましたが、実際には、劇団ひまわり一座も壁にぶつかっています。 ひとつは、観客が毎年300人以上はいるのですが、固定客が多く、いまひとつ市民への広がりが足りないことと、観客も劇団員も高齢化が進んでいることです。
特に、高齢化はここ数年の課題です。憲法問題は、これからの日本をどうするのかということであり、若い世代にいかにして、憲法のことを考えてもらうかが重要だと思うのです。
で、劇団ひまわり一座としては、劇団員に若い人を増やし、若い観客を引きつけようと思っているのですが、実際にはなかなか、若い弁護士の参加が少ないのが現状です。若い弁護士が増えているのに何故なんでしょうか。演劇に参加すると、裁判員裁判のスキルアップにもなる…かもです。
そこの、君、ぜひ劇団ひまわり一座に入って、明日のスターを目指さないか!!