福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2008年7月号 月報
情報管理について
月報記事
会 員 高田 明 (60期)
1.はじめに
私は、ITに関して技術的な理屈はほとんどわかりませんが、ITコラムということでの依頼ですので、情報管理について書いてみようと思います。
「弁護士を殺すのにはナイフはいらない。彼のスーツケースを奪うだけでよい」という法諺がある?(少なくとも似たようなものがあるはずです)ように、弁護士業務において最も重要な義務は、守秘義務であるといっても過言ではありません。その大事な守秘義務を守りながらも、ノートPCを持ち歩いて、効率よく仕事ができたらいいなという願望を達成するために、私が今考えていることをそのまま書かせていただきたいと思います。
2.事件関係記録の持ち出し
修習生時代に「記録」というものに触れるようになり、書記官の方に「記録をなくされたら、私の首が飛びますから」と冗談(?)をいわれながら、法曹にとって秘密を守ることがいかに大事かということを教えられました。
その教育の成果があってか、私は自宅等で仕事をするために、記録を持ち帰ることはしません。自らの情報管理に自信がないので、記録を持ち歩かないのが一番だということです。
しかし、事件関係のファイルをノートPCに入れて持ち歩き、空き時間に準備書面を起案したり、メールをチェックしたりできれば、当然のことながら弁護士業務の効率化を図ることができます。
そこで、できれば持ち歩きたいと考えています。
3.セキュリティ対策
<ノートパソコン>
私は、ノートパソコンには、パスワードをかけています。紛失してしまった時に、ハードに記憶された情報を見ることができないように一定の効果はありそうです。
ただ、拾った人が本気で情報を見ようとすれば、パスワードを入力しなくてもハードディスクを取り出して、情報を見ることは可能だそうです。
そこで、「ドライブロック」といってハードディスクドライブにアクセスできないようにすることができる機能を有するノートパソコンが販売されていて、次にノートパソコンを購入する際には、それを買おうかと考えています。そこまですれば、自筆の大学ノートを持ち歩くよりよほど安全な気がしますし、事件関係の情報を入れて持ち歩いてもいいのではないかという気がしています。
<USBメモリー>
私は、指紋認証つきのUSBメモリーを使っています。デスクトップ型に差し込むときには、非常に不恰好なことになってしまいますが、これもメモリー自体をロックでき安心できそうです。それだけにととまらず、第三者のPCに接続された段階で、格納された情報をすべて消去し、読みとれないようにするという機能がついたものもあるそうです。そこまですれば、事件関係の情報を入れて持ち歩いてもいいのではないかという気がします。
4.雑感
とりとめのない雑文を書いてきましたが、守秘義務は弁護士生命に関わる重大問題ですので、どれほどのセキュリティーレベルで満足するか、結局人それぞれだと思います。
ただ、私自身はこれから、最新(細心?)の注意を払っているといえるモノを購入して、ノートパソコン等に入れた情報の持ち歩きに挑戦していこうと考えています。