福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2006年7月号 月報
ITコラム
月報記事
会員 菅藤 浩三
サービスパック2の悪夢
1 わたくし自身は、パソコンは道具と割り切っているので、ITの仕組みは全く勉強していません。パソコン1人1台をようやく実現し、LANも今年の6月にようやく設定した有り様です。
とはいえ、自動車の構造を知らずとも自動車の運転をできる人がほとんど、ITも同じだという理屈で日々行動しています。が、自動車の構造を知らずに自動車をいじるとトンデモ事態になるぞ、というエピソードを紹介します。ちなみに、この原稿を書いている時点でもそのトラブルは解消していません。
2 弁護士業界でのIT環境に関するスタンダードは、行政の発行した東京弁護士会編集【弁護士業務マニュアル第3版】に記されているレベルだと思います。少なくとも福岡では、ここに掲載されている程度のIT環境を、業者や知り合いに委託して整えていれば、たとえITのことを知らずともいっぱしのIT環境を持つ弁護士と自負してもよいのではないでしょうか。といっても、さすがにIT環境を持っているくらいで「IT弁護士」と名乗るべきではないと思いますが。
3 わたくしは同書66頁に触発され、業務専用のクレジットカードを用意して、電子内容証明の導入を試みました。日本郵政公社のホームページから圧縮ファイルをダウンロードして解凍。では早速、第1号の電子内容証明送付の操作にとりかかったところ、意味の分からないエラーが出てきました。ホームページの表紙にさかのぼり、よくあるご質問のコーナーを覗くと「電子内容証明のソフトはサービスパック2の環境下には対応していません。サービスパック2を削除するか、別の動作する環境で利用してください」と記されています。
4 サービスパックとは何ぞやといいますと、ウィンドウズXP発売後に発見されたバグ修正ソフトをまとめてパッケージにしたものだそうです(ちなみに、この解説は別のホームページからそのままひっぱったものなので、門前の小僧の習わぬ経と同じでわたくしには正確な意味は不明です)。
「あっそう、アンインストールしたら電子内容証明が利用できるのね」自動車の構造を知らず自動車を運転しているわたくしは、コントロールパネルからプログラムの削除を選択し、このパソコンがサービスパック2の環境下にあることを確認すると、アンインストールをポチッとしました。
やれやれ、これで電子内容証明郵便が使用できるゾ。
おや?オヤオヤ??ブラウザソフトが起動しないぞ…
あれれ〜(叫びが長く続く)。何と、サービスパック2をアンインストールしたことで、ブラウザソフトが起動しなくなっていたのです。要するに、インターネットがまったく見られないのです。とはいえ、メールソフトは普通に動いていたので、ITから完全に隔絶される、拘置所のホリエモン状態は辛うじて免れることができました。
5 まさに悪夢です。知り合い何人かに問い合わせしたところ「サービスパック2を削減するなんて怖くてできない(=素人は怖いもの知らず)」とか言われる始末です。わたくしはホームページ委員会の中で、会内IT研修を担当しています。
この原稿の中でIT研修の一環として「行く末の読めぬ操作はするな!」と強く訴えさせてください。