福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2005年12月号 月報
英国便りNo.10 留学一年目の成果と、ウィンブルドンテニス(2004年7月8日記)
月報記事
会員 松井 仁
刑弁委員会の皆さん
ご無沙汰しております。松井です。
この二ヶ月間、私が留学一年目に通ったコース(大学院進学のための基礎コース)の最終試験に追われ、「たより」を書く心理的余裕がありませんでしたが、やっとそれも終わり、晴れて夏休み(!)を迎えることができました。
今回は私の近況報告をさせていただきます。
振り返ってみると、思った以上に大変なコースでした。
私は、英語と、選択科目として開発学と経営学を習っていたのですが、各選択科目について学期ごとにエッセイ(二〇〇〇字)を書かされ(三学期で計六通)、それとは別に、自主研究の論文(八〇〇〇字)を書かねばなりませんでした。
最終試験では、英語については、三時間のライティング(時間内に講義を聞いて、文献を読んで、論文を仕上げるというもの。因みに今年の問題は「現代社会の孤独」でした)と、自主研究の内容についての一五分間のプレゼンテーションでした。
選択科目の最終試験は、三時間で三問のエッセイを書くというもので、一時間あたり一問仕上げる点では司法試験の論文試験に似ていますが、量が多いうえ英語で書かなければならないので、満足には仕上げられません。
こうして鍛えられたおかげで、英語の読み書きの能力はこの一年で多少進歩したような気がしますが、会話のほうは、まだ全然だめです。
実際、IELTSという英語の試験を定期的に受けていますが、恥ずかしながら、スピーキングは日本で受けたときの点数のままです。その原因のひとつは、私が妻と暮らしており、学校以外では日本語で生活しているからでしょう。妻も来年大学院に行くため、二人とも危機感をつのらせ、家でなるべく英語を話そうと試みてはいるのですが、照れくさいうえ、言いたいことが言えない欲求不満がつのって、なかなか長続きしません。
よく留学から帰った人が、「留学したからといって語学が上達するとは限らない」といいますが、本当です。 というわけで、この夏は、語学学校に行くべきか、それとも楽しみにしていた各地への旅行に出かけるか、悩ましいところです。
イギリスの夏は日が長く(夏至のころは、日の出が午前四時三〇分頃、日没が午後九時三〇分頃でした)、旅行に行っても遅くまで観光ができて、とても得をしている気分になります。
しかし、夜がなかなか来ないため、いきおい夕食の時間も遅くなり、夜更かししてしまい、他方で朝明るくなって目が醒めたところまだ五時すぎだったりして、寝不足になりがちになる問題もあります。
そのうえ、蒸し暑い日本とちがって、肌寒い日も多いので、風邪をひいたりしないように注意が必要です。
先日行ったテニスのウインブルドン大会も、肌寒い中、夕方遅くまで行われていました。
ウインブルドンのテニスの前売りチケットは、前年のうちに売り切れてしまうので、徹夜で当日券に並ばなければ見れないのがふつうです。ただし、毎日午後五時ころから、帰った観客のチケットを再販売するシステムがあり、私たちは、杉山愛さんの「センターコート」での試合を見れるかも知れないと思って、夕方行ってみたのです。運良く再販売券が手に入り、まだ杉山さんが試合中のセンターコートの入り口にかけつけたのですが、警備員から「ゲーム中は中に入ってはいけない」と止められ(人の移動は選手の気を散らすから)、やっと入るのを許されたのは、杉山さんが負けてしまったあとで、結局、会場を去る杉山さんを見送るだけとなってしまいました。
でも、そのあと他国選手の試合を見ることができ、TVで見ていたように他の観客といっしょに私たちも、ボールを追って首を右に左に動かし、「オー」とか言ったり拍手したりして、ウインブルドンの雰囲気を堪能することができました。
それでは、皆様も体を大切に。