福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2004年4月 1日

高齢者・障害者 安心生活支援

ウォーク

〜ネットワークづくりをめざして〜

弁護士 岩城 和代

「あいゆう」の財産管理等サービスについて
Q1 「あいゆう」でしてもらえる財産管理サービスには、どんな種類・方法があるのですか?

A. 三つのコースがあります。

一つは、判断が十分できなくなったお年寄りや障害のある人のために、家庭裁判所に法廷後見などの申\立をして、「あいゆう」登録の弁護士が法廷後見人などになって管理していくやり方です。

二つは、お元気なうちに、自分が判断できなくなったときに備えて、あらかじめ公正証書によって信頼している特定の人に将来の財産管理を依頼するやり方です。これを任意後見制度といいます。さらに細かくいえば、この方式には「あいゆう」登録の弁護士が直接に財産管理の依頼を受けることもあれば、ご親族の方が依頼を受け、「あいゆう」登録の弁護士がその親戚を監督するという方法もあります。

三つは、「あいゆう」登録弁護士とお年寄りの方とかが直接に財産管理契約を結び、「あいゆう」がその弁護士を監督するという方法です。

一つ目については12頁を、二つ目については10頁をごらん下さい。ここでは、三つ目のやり方に話をすすめましょう。

Q2 三つ目のやり方については、どんな人が利用できますか? 隣のおじいさんは頭はしっかりしていますが、体が不自由で誰かのサポートを受けたいとおっしゃってるのですが・・・。

A. まさに、そのおじいさんのような、自分でお金のことは何でも分かるけれど、体が言うことをきかず、結局、自分のお金も自由に使えない方々のために、「あいゆう」独自の財産管理サービスを用意したのです。

一つ目と二つ目は、判断力が不十分になったときに初めて他人からサポートを受けることができる制度です。ですから、頭のしっかりしたお年寄りや判断力が十\分で他の障害を持つ方々は利用することができません。

でも、「あいゆう」登録弁護士の経験では、甥や姪は遠いところにいるけれど何十年も音信不通の状態で、一人暮らしを続けてこられたお年寄りが老健センターや特別養護老人ホームに入所されたあと、財産管理をする人がいなくなったケースなど結構\あります。このような方々に利用できる制度として、三つ目を用意したのです。

ぜひご活用下さい。もちろん軽い判断力の低下のある人でも利用できます。

Q3 実際に財産管理をする人は弁護士個人なのですね。その弁護士さん一人を信頼しておれば安心なのでしょうか?万一のことはありませんか・・・

A. ご不安は十分理解できます。「万一のこと」とは、弁護士が財産を着服したとか、財産どろぼうから取られたとかが考えられます。前者は、絶対にあってはならないことです。

そのため、「あいゆう」では登録弁護士向けにいろいろの研修を行って、弁護士のプロとしての力量を高めるよう日々努力を重ねています。また、弁護士は常に他人の金銭をお預かりする立場にありますから、倫理に関してもたゆまぬ研鑽を重ねています。いったん「あいゆう」登録弁護士が財産管理を受任した後は、「あいゆう」自身が団体として、四ヶ月ごとに皆様からお預かりした大切な財産の状況をチェックします。

また、泥棒が押し入った場合などに備えて、個々の弁護士とともに弁護士会は賠償責任保険に加入しています。ですから、どうぞ安心してお任せください。

Q4 財産管理だけしか頼めないのですか?

A. 財産管理に関係していることなら、毎日の生活費の支払いや身守りなど、希望されるほとんどのことを頼めます。

たとえば、生命保険や賠償責任保険の切り替え手続き、お亡くなりになった際のお葬式や祭祀ごと、納骨などです。

また、遺言の作成も依頼されたほうが便利だと思います。実際の介護行為はできませんが、介護する人や施設を見つけ、そこと介護・入所契約をすることもできます。

Q5 費用はどれほどかかりますか?

A. 財産管理等契約を結ぶときに、場合によっては二○万円以下の一時金がかかります。

実際に財産管理サービスを始めたあとは、月に一〜五万円の範囲内で、話し合いによって合意した額をお支払いしていただくことになります。

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