弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2025年3月17日

宇宙(そら)を編む

宇宙


(霧山昴)
著者 井上 榛香 、 出版 小学館

 宇宙ライターを業とする著者は福岡県小郡(おごおり)市の出身です。
 小郡市には「七夕(たなばた)の里」、こんなキャッチコピーがついているというのです。私は初めて知りました。そして、中心部には「七夕会館」があり、天体ドームが併設されていて、天体望遠鏡で星空を眺めることができるそうです。
 著者は、大学では法学部でした。宇宙法を勉強したいというので選んだそうです。うひゃあ、そんな法律があったんですかね...。
 ロシアが人工衛星を破壊して、その破片が宇宙空間をさまよっていて、宇宙船に衝突する危険もあるそうなので、宇宙空間の規制もたしかに必要でしょうね。今や、軍事偵察衛星が北朝鮮の動向を毎日詳細に観察しているそうです(どうやら、日本は情報を共有してもらえていないようなんですが...)。
 九州にも鹿児島の内之浦と種子島だけではなく、大分空港を人工衛星の打ち上げ基地にする計画がすすんでいるそうです。
 そして、北九州の九州工業大学は、小型・超小型衛星の運用数が、世界の大学、学術機関のなかで世界1位を7年連続で占めているとのこと。これまた知りませんでした。
 宇宙旅行について、ZOZO創業者の前澤友作は数百億円かけて12日間、ISS(国際宇宙ステーション)に滞在した。今や4時間のフライトで成層圏への遊覧サービスが1人2400万円で利用できるようになりそうだとのこと。恐らくスーパーリッチ層の楽しみになるのでしょうね。
 著者の宇宙ライターというのは、まったくフリーでの取材。宇宙船ならロシア語が必須なので、著者もウクライナに留学し、ロシア語をマスターしたそうです。
 それで、ロシアのウクライナ侵略戦争に心を痛め、避難のお手伝いもしているとのこと。
それにしても、北海道の牧場で発生する牛の糞尿からのガスをロケットエンジンの燃料として利用するというのには驚きました。実際にやられているのです...。
 宇宙業界には、日本でもベンチャー企業がいくつもあって、それなりに活躍していることも知りました。でも、かかるお金が桁(ケタ)違いです。
 「ロケット開発の会社をつくりたいので、50億円を集めてほしい」
 びっくり驚天の金額です。
著者の宇宙ライターとしてのますますの活躍を大いに期待しています。
(2025年2月刊。1870円)

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