弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2025年2月 2日
転売ヤー、闇の経済学
社会
(霧山昴)
著者 奥窪 優木 、 出版 新潮新書
インターネット万能の世界では、いろんなものがお金になり、転々と売買されていくのですね。
先日、離婚事件でポケモンカードが財産分与の対象となるという主張に接し、驚きました。このときは数十万円のレベルでしたが、この本では数百万円、数千万円で取引されているのもあり、5億円した取引もあるそうです。まるで私には信じられない世界です。
数百円で買える紙切れが数千倍、いや数万倍にもなるというのです。そうすると、転売を業とする人々が出現します。そして、金属探知機を使って、アルミを使ったコーティングがされているのか調べるそうです。そして、このポケモンカードがマネーロンダリングにも利用されているというのに驚かされました。振り込め詐欺でもうけた「裏金」を表に出して現金化する方法になっているそうです。
羽生結弦グッズは中国では柚子グッズというそうですが、これを転売ヤーが買って、高値で売る。同じように、東京のディズニーグッズを転売する転売ヤー集団が存在する。「同一商品はひとり3点まで」という購入制限がかかってくるのを、うまくくぐり抜ける方法があるようです。
実際に入園する人は1人でも、ゲートで「使用済み」にしたチケットが4枚あれば、同じ商品でも1人で12点まで買える仕掛けです。そして、転売ヤーが大量に買い付けてくれることは、ディズニーランド側にも利益をもたらします。なにしろ年間20億円以上の売上が転売ヤーによってもたらされるというのですから、持ちつ持たれつの関係なのですね...。
2600円のぬいぐるみが中国では4000円(送料別)で売られるので、販売額の20~30%が転売ヤーの利益になっている。
デパートの外商を利用した転売ヤーも存在する。
デパートの外商顧客は250万世帯、デパートの売上の2割ほどを占めている。そして、客は希少酒を仕入れて、買取店で売却する。すると、年間900万円をもうけている人がいる(納税せず)。
また、株主優待券やプレミアム商品券を利用する転売ヤーもいる。
いろんなところで、転売ヤーが活躍していることを知ることができました。
(2024年11月刊。860円+税)