弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2025年1月14日
箱の中の宇宙
宇宙
(霧山昴)
著者 アンドリュー・ポンチェン 、 出版 ダイヤモンド社
たまには夜空を眺めて、宇宙のことを考えてみたいものです。
自分が死んだら、あのきらめく星と一体化して、宇宙をさまよっていくのかな...、そう思うと、宇宙の端(はて)がどうなっているのか、知りたくなりますよね...。
宇宙は広大なだけでなく、非常に複雑である。
銀河が回転しているという事実は、21世紀の初めから知られていた。銀河系の軌道上に星をつなぎ止めるのに十分な重力を及ぼすには、通常の物質の5倍も存在しなければならない。それがダークマター。今のところダークマターの正体は判明していないが、その正体は素粒子に違いないだろう。
宇宙は140億年前に誕生し、ほとんど大きさゼロから膨張し続けている。しかし、膨張によって銀河がランダムに散らばっているのではない。巨大なクモの巣のような、ほぼ空っぽの超空洞(ボイド)を挟(はさ)んだ、「宇宙の網の目」にそって銀河は結びついている。しかし、なぜ、どのようにして、銀河が網の上に並んだのか...、大きな謎だった。
ニュートリノは、非常に軽い。水素原子の1億分の1ほどの質量しかない。
今日、宇宙を押し広げているものは、すべてダークエネルギーと呼ばれている。銀河を引き寄せているダークマターと対(つい)をなしている。ダークエネルギーの影響は、太陽系や銀河系スケールでは測定可能なインパクトがないため、非常に弱いものに違いない。しかし、弱いダークエネルギーであっても、非常に大きなスケールでは重要な意味をもつ。
今は、ダークマターが25%、ダークエネルギーが7%という宇宙像が描かれている。残る5%に、目に見える、私たちの星や銀河をつくっている原子や分子が存在している。
すべての星は、銀河の中を漂うガスの雲から始まる。
銀河は、大きさ、色、形、質量、化学組織、年齢、明るさ、自転速度など、想像しうる、あらゆる点で多様である。
この10年間で、ブラックホールは合理的な疑いをこえて実在することが証明された。
太陽の数百万倍の質量をもつ壮大なブラックホールが私たちの銀河系のど真ん中に鎮座している。天の川銀河の中心にはブラックホールがある。
超大質量ブラックホールの半径は、親銀河の500億分の1しかないため、コンピュータがブラックホールを正しくとらえるのは至難の業(わざ)だ。
なんと壮大なスケールの話でしょうか。憂さばらしにはもってこいですよね。
(2024年7月刊。2200円+税)