弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2025年1月13日
西はりま天文台の星空日記
宇宙
(霧山昴)
著者 大島 誠人 、 出版 あけび書房
私は本格的な天文台には残念ながらまだ行ったことがありませんが、星空を眺めるのは大好きです。夏の夜、ベランダに大きな望遠鏡を据えて、目をじっくり眺めると、浮世の世知辛さをしばし忘れることが出来ます。
この西はりま天文台は一般人にも公開しているそうです。
JR姫新線の作用駅から7キロの山の上にある天文台。兵庫県の佐用(さよ)町は人口1万7千人。標高435メートルの大撫(おおなで)山の山頂にあります。
天文台の立地条件は、夜、空が暗いこと。なので、近くに工場街、コンビナートがあるのは良くありません。また、瀬戸内海のように雨があまり降らないところがいいのです。ここにあるなゆた望遠鏡は、口径が2メートルと、日本で2番目に大きい。
夜だけでなく、昼でも星は見える。そうなんです。星野村にある小さな天文台で私も星を昼に見たことがあります。
なゆたというのは「那由多」と書いて、万、億、兆そして京の先のほう、万から数えて15番目、10の60乗ということです。
レンズを使う望遠鏡を屈折望遠鏡、鏡を使うのを反射望遠鏡という。一長一短あるが、研究用としては反射式のほうがダントツに良い。というのも屈折望遠鏡は、ある程度より大きいものをつくるのが非常に難しいから。反射望遠鏡は鏡の表面の良し悪しによる。今はめっき技術が向上している。
星の寿命は生まれたときの質量で決まっている。質量が大きい星ほど寿命が短い。というのは、質量の大きい星ほど核融合反応が盛んになるので、燃料がどんどん減ってしまい、寿命も短くなってしまう。そのため、大きくて明るい星ほど、寿命が短い。
若い散開星団には、質量の大きな星がたくさんいるから、そのような星は表面温度が高いので、散開集団には青白い明るい星が目立つ。星が輝き始めるというのは、星の中で核融合反応が始まること。
著者は高校生のとき、ずっと夜空の星を観察しているうちに、変光星の増光を世界で最初に発見したということで、新聞で大きく紹介されました。たいしたものです。
ただ、天体観測は夜ですから、生活はとても不規則になり、昼夜逆転の日々を送ることになります。これは大変ですね。私にはとても出来ません。夜はやっぱりちゃんと寝たいですから...。
この天文台は、日曜は一般参加が自由で、平日は予約が必要だそうです。一度、宿泊つきで行ってみたいものです。
(2024年9月刊。2200円)