弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2025年1月11日

なぜ彗星は夜空に長い尾をひくのか

宇宙


(霧山昴)
著者 渡部 潤一 、 出版 誠文堂新光社

 夜空の星を眺めるのは大好きですし、宇宙に関する本を読むのも好きです。
 いつも不思議なのは、星が空を移動しているのを見る(観察する)だけで、昔から数値化して軌道を計算し、いつ彗星が出現するのか予測する、できるということです。皆既日食も、いつ、どこでそれが見えるというのをぴたりと予測できるなんて、私にはまるで信じられません。
 今はコンピューターで計算しているわけですが、昔々のケプラーとか、みんな手で計算していたわけですよね。大変な計算だったことと思います。
 さて、彗星です。その正体は、なんと、巨大な汚れた雪塊というのです。
彗星核の成分は80%が水の氷、残り20%には二酸化炭素、一酸化炭素、それに微量成分として炭素、酸素、窒素に水素が化合した種々の分子が含まれている。これに岩塊や砂粒のような座(ダスト)が混ざっている。
彗星は、太陽系の中を勝手気ままに飛び回る太陽系の異端児。
彗星の2つの特徴。その一は、何の予告もなく突然に現れる。その二は、現れた彗星は華麗な姿を見せる。
 彗星の出現は西洋では凶兆とみられている。ジュリアス・シーザーが暗殺されたあと、第彗星が現れた。ところが、日本では稲作との関係で、穂垂星として吉兆とみられていた。
 ハレー彗星は、周期的に回帰する彗星のなかでも、きわめて大型で明るい彗星。
 彗星の尾(しっぽ)は、塵の粒子が太陽からの光の圧力(放射圧)によるもの。
彗星は、地球のような太陽系の内側の暖かい場所ではなく、太陽系のかなり外縁部で生まれたようだ。太陽よりも遠方で出来た微惑星が彗星だ。その意味で、彗星は、46億年前の物理・科学的状態を閉じ込めた化石とも言える。
彗星は、惑星や太陽に近づきすぎると、その潮汐力で分裂することが多い。それでなくても彗星は分裂しやすい、きわめて脆(もろ)い天体である。
 彗星はよく分裂し、そのうえで雲散霧消するものがある。
彗星核の密度はどうなのか。その中の構造がどうなっているのか、ほとんど分かっていない。まだまだ彗星は謎に満ちている。夜空に彗星や流星を眺めていると、つい、何か願いごとをしたくなりますよね...。
(2024年9月刊。1760円)

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