弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2024年11月12日

ネクスト・クエスチョン

アメリカ


(霧山昴)
著者 ステファニー・グリシャム 、 出版 論創社

 トランプほど虚像の大きい男はいないのではないのでしょうか...。アメリカで有権者の半分ほどがトランプに投票したなんて、まったく信じられません。著者は6年間も、トランプ一家のすぐ近くにいて、すべてを余すところなく目撃した女性です。
2021年1月6日、トランプ政権から著者はようやく脱出できた。ええっ、いったい著者の職業は何、なんなの...???
 著者はファーストレディ(メラニア夫人)の広報部長、そして、大統領の報道官なのでした。
トランプは、わざと常軌を逸し、道化を演じる。テレビショーで長年にわたって人気を博したのには、それなりの理由がある。
トランプは、自分が注目の中心、政治の中心、政治の中心、そして世界の中心にいるという栄誉に浸っていた。
 トランプの食習慣は16歳のそれである。トランプの食事のメニューは、どこにいようと、ほぼ変わらない。ウェルダンのステーキ、チーズバーガーとポテトフライ、スパゲティとミートボール。デザートはバニラアイス2個。複雑で繊細な外国料理は好みにあわない。
 トランプは、自分の指示に相手がどこまで従うのか、いつも見ている。それが、忠誠心を測るトランプ流の方法だ。
周囲の人間にとって、トランプを満足させ続けることが何より大事なこと。
 トランプのボキャブラリーに、「強硬」「どう猛」「殺し屋」以上のほめ言葉はない。
トランプのもっとも貴重な所持品は、ツイッター(X)のアカウント。
 トランプは、頭髪をあの形に整えるべく、毎日耐えている苦労はすごいものがある。大量のヘアスプレーを使っている。トランプの見た目は毎朝、顔に塗るメイクによって作られている。トランプは、夕食後には映画をみて過ごす。
 トランプにとって女性との不倫は日常茶飯事にすぎない。
 トランプはダイエットコークを次から次に飲み干すという癖がある。
 トランプは、自分自身に関する報道しか気にかけていない。
トランプは一瞬のうちに激怒する。その怒りは一時的であっても、非常に激しい。
 トランプは人の弱点を見つける能力があり、信じられないほど下劣で、粗野で、そのうえ効果的なやり方で怒りを向ける。
 人は負け犬や弱虫と言われるのがもっとも嫌いだとトランプは考えているので、そんな単語を無数に発する。
 トランプはフランスのマクロン大統領について、「あいつは臆病者だ」とけなした。
トランプは細菌恐怖症だ。プーチンは、それを知っているので、わざと咳払いを繰り返した。他の人なら怒鳴りつけるところ、トランプは黙って耐えた。
 トランプは娘イヴァンカの夫・ジャレッドに事実上無制限の権力を与えていた。それは愛娘(イヴァンカ)のご機嫌を損ねたくないから。
 ジャレッド・クシュナーの機嫌が悪い。トランプのホワイトハウスでは、絶対に聞きたくないニュースだった。著者はジャレッドの愚かな発言に辟易(へきえき)させられていた。
 トランプのホワイトハウスでは、トランプに都合の悪い事実がニュースとして流れると、その情報漏洩者捜しが始める。しかし、これは気に入らない人間を排除する口実として用いられることが多かった。
トランプ一家の大半の人間は、人々をいともあっさり解任し、自分たちの生活から切り離していく。
完全なる忠誠心を求めるものの、誰に対しても忠実ではない。彼らはビジネス界の人間であって、ビジネスに私情を差しはさむことは許されない。
トランプのやったことで良いことは共和党の政策だからであって、トランプの政策が良かったからではない。
 分裂を引き起こし、スキャンダルまみれのトランプ時代のドラマと決別すべきだ。
 6年間もすぐそばにいた女性から、これほどまで「下劣」だと決めつけられるような人間がアメリカの大統領になるなんて、ホント信じられません。
(2024年6月刊。2400円+税)

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