弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2024年11月 6日
論究・新時代の弁護士
司法
(霧山昴)
著者 髙中 正彦 ・ 石田 京子 、 出版 弘文堂
五大事務所の活躍ぶりは目覚ましいものがあります。直近の新人(76期)は五大事務所に合計250人が入所しています(1事務所50人です)。初任給は1000万円から1300万円だと聞いていますので、1事務所だけで少なくとも5億円の人件費増となるわけですが、それでも事務所財政がパンクしたという話は出ていません。恐るべき全額です。ちなみに、裁判官81人、検察官76人が新規任官者で、76期は総数1387人です。
長野・大野・常松は弁護士555人、総勢1000人。アンダーソン・毛利友常は弁護士620人、総勢1409人。西村あさひは弁護士682人、総勢1690人。森・濱田は弁護士596人、総勢1405人、TMIは弁護士575人、総1233人。いずれも、まさしく巨大企業です。
2006年には、弁護士は長島・大野・常松が222人、森・濱田松本が209人、西村ときわ209人、アンダーソン・毛利・友常195人、あさひ狛157人、TMI102人だった。17年間で2~3倍に増えているのです。
五大事務所は他士業との連携もすすめています。司法書士、行政書士そして弁理士、税理士です。
TMIは知的財産権を得意の専門分野の一つとしているので、弁理士92人のほか、特許技術者、特許・商標事務スタッフ122人を抱えています。TMIは毎週月曜日は朝9時半より朝礼をし、月曜日のランチタイムには全弁護士、弁理士が参加するミーティングをしているとのこと。すごいです。
企業内弁護士は3000人をこえた(2023年6月に3184人)。全弁護士の7.1%。10年前に比べて3倍増。地方公務員になった弁護士も200人に近い。
次は、地方会の例として高知弁護士会の状況。会員92人、うち女性は12人。入会者は少なく、10年間に5人しか増えていない。そして、当番弁護士や国選事件の登録弁護士が若手のなかで減っている。これは生来を考えると「危機的状況」にあるとのこと。
九州でも、宮崎や長崎で同じような悩みをかかえていると聞いています。
弁護士は1万7千人(2000年)から、4万5千人(2023年)の大幅に増加した。2050年には6万3千人になると予測されていて、フランス並みの対人口比を実現していることになる。
海外では見られないのが日本の弁護士会の特徴的なプロボノ活動。たしかに全国の弁護士会は各種プロボノ活動を身銭を切って活発に展開していますよね。これも弁護士の活動の一つだと思って私もやってきましたが、その点が少し薄れているようなのが残念です。
とはいっても、依頼者との関係に悩む弁護士の割合が増えているとのこと。10年間に17%も増えていて、60期以降でみると、6割にのぼるというアンケート結果があります。
他者に対する共感(エンパシー)が大切だけど、この共感は弊害ももたらすことがあり、注意も要するところです。弁護士も人間を相手にするだけに、なかなか大変なのです。
本文730頁、定価は1万円をこすという、枕のような分厚い本です。タイトルに惹かれ、また綱紀・懲戒問題に関心がありましたので日弁連会館地下の書店で購入し、帰りの飛行機のなかで、乱高下する状況に耐え、不安を感じながら読み通しました。大変勉強になりました。
(2024年10月刊。13200円)
いつものとおりよく晴れた文化の日に庭のイモ掘りをしてみました。全部ではなく、端のほうだけ試しに掘り上げたのです。昨年は庭の別なところでしたが、大きくならず失敗しました。別の場所で、うまくいくかと恐る恐る掘り上げてみると、立派な形の芋が地中から姿を現してくれました。ヤッター!と、つい叫んでしまいました。
さて、味はどうでしょうか...。ちょっと甘さが足りませんでした。まあ、それでもイモの味はしました。