弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2024年9月17日

宇宙はいかに始まったのか

宇宙


(霧山昴)
著者 浅田 秀樹 、 出版 講談社ブルーバックス新書

 読んでもよく分からないなりに、宇宙論の本はつい手にとって読んでみたくなります。
 何光年も先の星が今、見えていることの不思議さ、奇怪さがあります。
宇宙に始まりがあるとしたら、終わりもあるのか...。宇宙の始まりの前には何があったのか。何もなかったとしたら、なぜ急に誕生したのか、できたのか...。謎は次々にふくらんでいきます。
 1ナノヘルツで振動するのは、1回振動するのに30年もかかるということ。日本人の平均寿命のあいだに3回しか振動しない。
 ナノヘルツの重力波というのは、数十年にわたって観測しても、1回の振動を見ることが出来るかどうかというスケールのもの。重力波は光速で伝わる。30年間で1回振動する波の波長は、30光年。
 波長は、波が1回振動するあいだの長さ。周波数とは、1秒間に何回振動するのかをあらわすもの。
周波数1ヘルツとは、1秒間に1回振動すること。電波は、波長が1ミリメートルより長い電磁波のこと。X線が可視光と同じ電磁波にもかかわらず、19世紀末まで人類が気づかなかった理由は、それが1000万度にも相当する高エネルギーの電磁波だったため。
 パルサーは宇宙の精密時計。パルサーからの電波パルスは、きわめて正確に周期的に地球に届く。
 アメリカのLEGOが初めて検出した重力波は、ブラックホールの合体によるもので、周波数が1ナノヘルツ、波長にして数光年という、途方もないもの。
宇宙が誕生してから有限時間しか経過していないため、私たちは宇宙の全体を見ることは不可能。有限時間内では、光は有限の距離しか到達できないから。この限界を「地平線」と呼ぶ。つまり、宇宙の地平線が存在する理由は、光速が物質の速度の上限だから。
宇宙には地平線があって、向こう側は見えないんだと言われると、なんだかとても残念な気がします。それって、山のあなたの空遠く...の世界ですよね。どうしても見たい、見たいと思っても、見ることはできないというわけなんですね...。残念ですが仕方ありません。本を読んで想像してみることにしましょう。
(2024年6月刊。1100円)

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