弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2024年8月21日

イランの地下世界

アジア


(霧山昴)
著者 若宮 總 、 出版 角川新書

 イランの現実に大きく目を開かされる本です。ええっ、ほ、本当なんですか...って、思わず問い返したくなる記述が満載で、びっくり驚天のオンパレードでした。
イランの町で女性はスカーフなしで歩くのがあたりまえになっている。
 チャドルに身を包んだ女性は、出世のため、職場でも礼拝や断食を欠かすことはない。逆に言うと、礼拝も断食も、すべて出世のための道具にすぎない。
彼氏・彼女らは、欺まんにみちた「ヤクザ」でしかない。イスラム体制を支えている人間が、例外なく体制に忠実で、なおかつ敬虔(けいけん)であるとは限らない。
80歳を過ぎたハメネイは最高指導者として権力集中に熱心で、自らの周囲はすべて身内で固めている。
 コーランでは、女性の価値は男性の半分だと明確に規定されている。ええっ、本当なんですか...。
 棄教したり改宗した元ムスリムを「モルタッド」という。イランでも増えているが、もちろん隠しておかなければならない。
 イラン人は今や古代ペルシア帝国へ憧(あこが)れを抱いている。子どもにつける名前もアラビア語風ではなく、ペルシア語のほうが流行だ。
イランでは、簡単に豚肉が食べられる。マリファナの入手も簡単。
 失業率は高い。若年層では14.4%にもなっている。
イランでは、男女ともに、浮気性の人が多すぎるほど。
 イランの人々は、衛星放送をよく見ている。
 スマホの普及がイラン人を世界とつながらせている。イラン政府は、銀バエのように揉み手でロシアのご機嫌をとる。
 イラン人一般の対中感情は決して良くはない。
 イラン人は日本をよく思っているが、その中心に、1980年代に日本に大挙してやって来たイラン人労働者がある。ただし、イラン人は日本の外交には失望している。アメリカには決して逆らえないからだ。
 イラン人は、誰もがおめでたいほどの自信家で、知らないことでも「知っている」と言う。
ひところ、上野公園や代々木公園などに多くのイラン人が集まっているのが報道されました。今や激減したと思っていたのですが、イランに帰国してから、日本の良い思い出を今も抱いているというのに、意外感がありました。他国の人に親切にするというのは、ちゃんと見返りもあるのですよね。ヘイトスピーチなんて、絶対やめてほしいです。
(2024年6月刊。960円+税)

 今年はお盆明けからセミの鳴き声が聞こえません。ツクツク法師もまだ鳴いていないので、異変が起きたようです。35度以上になると、セミは鳴かないと聞きました。今の猛暑は地球全体がおかしくなっているのではないかと心配です。
 台風も関東・東北が直撃され、いつもの沖縄・九州にやってきません。いったいどうなっているのでしょうか...。

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