弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2024年6月20日

公園の木はなぜ切られるのか

社会


(霧山昴)
著者 尾林芳匡・中川勝之 、 出版 自治体研究所

 東京でも大阪でも、そして福岡でも、公園の木がつぎつぎと大量に切り倒されています。
 まず先行したのは、維新がリードする大阪です。なんと1万9000本を伐採します。「身を切る改革」ではなく、「木を切る改革」です。ひどいものです。
 次は、インチキ経歴(「カイロ大学をトップで卒業」どころか、中退)の小池百合子の東京です。明治神宮外苑のイチョウ並木を切り倒して、伊藤忠商事の本社ビルの建て替え、三井不動産による再開発を進めようとしています。そして福岡は須崎公園です。
どうして、大阪も東京も、こんなに大量の木を伐採しようとしているのか・・・。その理由は、ズバリ、お金です。公園の維持・管理にあまりお金をかけたくない、そして大企業に公園を「切り売り」して収益事業の場を提供するのです。これまで、お荷物でしかなかった公園が自治体はガッポガッポと収益を上げる金の卵になるのです。いやあ、さすがは維新、そして小池百合子です。表ではキレイゴトを言っておいて、裏にまわったら、自分たちのフトコロだけは豊かにしようという魂胆です。
 でも、公園って、住民の良好な生活環境のために、また災害時には避難場所になる防災拠点になるのです。それを目先の経費削減、民間事業者への収益の場の提供に代えるなんて、許されません。
 もともと、大阪も東京も、緑が少ないことが問題なのです。それをさらに切り詰めてしまおうというのですから、ひどいものです。
 この冊子を読んで、会計検査院が経費節減効果を疑問だとし、むしろ住民サービスの低下(約束違反)をもたらしていると指摘していることを知りました。それほど、大阪の維新、東京の小池百合子のやっていることはひどいのです。ごまかされてはいけません。
 私が毎月1回、日弁連の会議のため上京するたびに足を踏み入れる日比谷公園も大改装中です。公園と銀座をつなぐ大型デッキを2ヶ所につくるんだそうです。私は、そんなデッキなんて必要ないと思います。
わずか60冊の小冊子ですが、公園の木を切り倒してはいけない理由が簡潔によくまとめられています。ぜひ、手にとってお読みください。
 著者の尾林弁護士は、東大でセツルメント活動をしていました。その意味で、私の後輩になります。今も水問題など旺盛な活動を展開していて、日頃から大いに尊敬しています。
(2024年5月刊。990円)

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