弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2024年6月 9日
パラサイト難婚社会
社会
(霧山昴)
著者 山田 昌弘 、 出版 朝日新書
戦前の日本社会は「離婚大国」だった。明治時代も、その前の江戸時代も離婚は多かったのです。東北地方では2組に1組は離婚した。結婚が50万5千組で離婚は18万組ですから、およそ3対1の割合です(2022年)。
離婚の8割は協議離婚で、裁判離婚は1%。私も常時、離婚裁判をかかえています(現在2件)。結婚して10年以内の離婚が半数に近い。私も、弁護士として、子どものいないカップルには気安く離婚するよう勧めています。
離婚の多くに経済問題がある。
非嫡出子の割合は明治時代の半ばまで10%だった。今では2%。ところが、フランスではなんと60%にもなる。うひゃあ、これはすごいことですね。
離婚は二極化している。富裕層と貧困層に離婚が多い。経済条件があまり変わらないからでしょう、きっと...。
離婚は、今では「人生を左右する非常事態」ではなくなり、「人生の一大イベント」にすぎない。離婚は人生のステップアップなのです。ためらう必要はあまりありません。
男性の3割弱、女性の2割弱が結婚せずに人生を終えている。
生涯未婚率は、50歳の時点で「未婚」の人たちの割合をいう。
日本人の結婚観、そして離婚についての考え方は大きく変わりつつあるという実情がよく分かる新書です。
(2024年2月刊。990円)