弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2024年4月 2日
宝塚に咲いた青春
社会
(霧山昴)
著者 玉井 浜子 、 出版 青弓社
宝塚歌劇団の女性が自死した事件について、劇団側は、なかなか事実関係を公表せず、遺族側の要求に真剣に向きあっていないという印象があります。解決が長引けば、ますますタカラヅカの印象・評判が低下していくだけなのではないかと思うのですが...。在籍している多くの若い女性たちの努力と苦労を生かす方向での早期解決を期待するばかりです。
この本は戦前・戦後のタカラジェンヌの回想録です。昔も先輩には逆らえなかったこと、イジメがあっていたことが暴露されています。
「あんた、生意気や」
「感じ悪いなあ」
「夜ウチとこの部屋へいらっしゃい」
こう言われたら、一日中、生きた心地がしなくなる。何の根拠もなく決めつけられる。自分たちが上からされたことを繰り返して、いわば報復していたのだろう。
夜お部屋へ来いというのは、最大のイジメ。6畳一間に上級生が5人か6人座っていて、入っていくと中央に座布団が1枚置いてある。入り口に座ると、真ん中へ来いと言われる。座布団を動かそうとすると、そこへ座りなさいというので、座布団の上に座ると、とたんに罵声をあびる。
「なんや、あんた、上級生が座布団に座ってへんのに、一人で座ってええのんか」
「生意気やで」
「顔上げてみいや」
「それなら、さあ、もう1枚お敷きあそばせよ」
口答えできず、目を上げることも足を崩すことも不可能な姿勢のまま、上級生たちがあきるのを待つだけ。やっと解放されて自室に戻ると、心配した同級生が待っている。座布団の枚数がどれくらいイジメられたかのバロメーター。普通は3枚か4枚、最高は6枚。6枚の上に正座するのは難しいうえに、ずっとイヤミを言われる。情けないやら悔しいやらで、心のなかは煮えくり返るような思い。
しかし、反省しているようなしおらしい態度を保ち続けるのは、苦しい演技力。
そんなタカラジェンヌたちが1948(昭和23)年6月には3日間、ストライキをぶって休演したというのです。
戦前も松竹歌劇団はターキーを団長としてストライキを敢行しています。やっぱりやるべきとき、たたかわなければいけないときには、ストライキも何でもやってみることなんですよね。
(1999年11月刊。1400円+税)
いよいよ4月、まさしく春らんまんです。
桜は満開、チューリップも全開です。
今年は桜の開花が例年より遅いかなと思っていましたが、3月末に一気に満開となりました。ソメイヨシノのほんのりピンク色の花びらを見ると、心が浮き立ちます。
庭のあちこちにチューリップが全開しています。雨戸を開けると、元気なチューリップを眺めることができ、生きる元気をもらっています。
さあ、今日も一日がんばろうという感じです。