弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2024年3月11日
老いの地平線
人間
(霧山昴)
著者 樋口 惠子 、 出版 主婦の友社
91歳で、今なお元気一杯の著者の本です。
「91歳、自信をもってボケてます」とためらうことなく言い切る著者の言葉は、読む人に安心感を与え、生きる励ましを恵んでくれます。
老いは多様。十把一絡(ひとから)げのように思われるけど、本当は、その人が使える残された感覚と能力は非常に個性的。いろいろな老い方がある。
年齢であきらめることはないが、次の6つが大切。①運動、②趣味と好奇心③会話、④食事、⑤睡眠、⑥主観的幸福感、幸せを感じる。
過去を振り返って懐(なつ)かしさを感じることには、4つの効果がある。①脳の健康を維持し、認知症の進行を抑える。②未来に向かって生きる力をつける。③ストレスを解消し、気分転換を助ける。④主観的幸福感が得られる。
脳の中では、過去のことを思い出しつつ、同時に未来のことも考えている。
幸せや楽しさを分かち合う相手がいない社会的孤立は、脳にとっても良くない。
認知症の予防にはモノを捨てないほうがいいと言われている。私は、これまで、たくさんの本を書庫から取り出し、捨てました。そして、書庫に置いた本はジャンル毎にまとめています(現在進行形です)。すると、意外な掘り出し物に出会うことが多々あります。
そんな出会いは、それこそ心ときめく瞬間をもたらしてくれます。
一般に視力よりも早くダメになるのが聴力。本当にそうです。私は、今でも新聞も本も裸眼で読みます。メガネをかけては読めません。ところが耳は遠くなりました。法廷で裁判官が小さな声でボソボソッと言うとほとんど聴きとれません。補聴器は使っていませんが、いいのは60万円もするようです。
著者は、自分の財布は自分で管理したいと言っていますが、弁護士としての経験から、まったく正しいと思います。相続で子ども同士がもめるのは、親の育て方に問題があったと感じることが大半です。
著者は山本周五郎、そして藤沢周平が大好きだとのこと。私も同じです。しみじみとした情感に心が惹かれます。
著者は、大手メディアが世代間対立をあおっているのを厳しく弾劾(だんがい)しています。まったく同感です。
トマホークやらオスプレイなんて百害あって一利ないものをアメリカからどんどん爆買いしていながら、福祉予算を削り続け、若い世代に高齢者の年金負担は過重だなんてウソ八百を並べ立てるのは絶対に許せません。
91歳でなお元気いっぱいの著者からの心温まるメッセージを読んで心が熱くなりました。
(2023年10月刊。1500円+税)
タラの芽をたくさんいただきました。テンプラと塩ゆでの両方で食べましたが、ちょっぴりホロにがさのある、まさしく春そのものの味わいでした。春到来を実感することが出来て、豪勢な気分に浸りました。
庭のあちこちに植えているチューリップがぐんぐん伸びて、もう少しで花が咲きそうです。楽しみです。おっと、その前に雑草とりをしなくてはいけません。雑草に埋もれてしまったら、可哀想です。
通勤途上の電柱にカササギの巣が4個もあります。本当に高いところによくも巣をつくれるものです。
そして、歩道にはハクモクレンが咲いていて、やがてコブシの白い花も咲きだします。
花粉症さえなかったら、春は最高なんですが...。