弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2024年2月 6日

平和に生きる権利は国境を超える

中近東


(霧山昴)
著者 猫塚 義夫 ・ 清本 愛砂 、 出版 あけび書房

 まずもって、ハマス(この本では「ハマース」)によるイスラエルの人々に対する急襲行為が許されないものであることは言うまでもありません。しかし、現在、私たちの目の前で進行しているのは、それに対するイスラエルの「反撃・報復」というにはあまりに大規模な軍事作戦です。それはまさしくジェノサイドレベルのもので、絶対に容認できません。直ちに停戦し、和平交渉に入るべきです。もちろんハマスの人質返還は当然です。
 イスラエルはガザ地区に対して事前警告なしに空爆していて、病院や国連の施設までも爆撃しています。ひどいです。ひどすぎます。
 これまでガザ地区へは中大規模の軍事攻撃が4回あり、今回が5回目。16歳以下の子どもたちは、生まれたときから戦争しか知らない。
 失業率は50%。15~28歳の若者については、失業率は60~70%もの高率。
 イスラエル軍はハマスの攻撃に加担した者の家族の家まで破壊している。連座制の適用。ハマスとイスラエルの軍事力の違いは、中学生の野球部とメジャーリーガーが試合をしているようなもの。格段すぎる格差が明らか。
 イスラエルのガザ地区への空爆で投下された爆弾は、8日間で6000トン。これは戦前の東京大空襲のときに投下爆弾が2200トンだったので、その3倍に近い。しかも、ガザ地区は東京23区の3分の1でしかない。
 ガザの人口の40%以上が18歳未満。ガザ地区は、縦50キロ、横5~8キロ、面積360キロ。ここに220万人が暮らしてきた。うち7割以上が難民。
ガザには小規模の大学が5校。医学部のある大規模の大学が2校ある。すでに死者2万5千人、1日に200人以上が死亡しているという悲惨な現実に、私の心は恐れ、おののいてしまいます。
 日本政府は憲法9条を有する国として、平和善隣外交を強力に展開すべきです。
 やってるポーズだけの岸田首相ですが、ともかく性根を入れてホンモノの平和外交をすすめてほしいものです。万一、それが出来ないというのなら、首相をやめてもらうしかありません。
(2023年11月刊。1760円)

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