弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2023年2月27日

動物のペニスから学ぶ人生の教訓

生物


(霧山昴)
著者 エミリー・ウィリンガム 、 出版 作品社

 オーストラリアのヤブツカツクリはペニスが非挿入性であるにもかかわらず、複数のパートナーと分け隔てなく交尾する。ペニスを持たないオーストラリアツカツクリは忠実に一夫一婦制を貫く。
 挿入器を持ち、父親が熱心にヒナの世話をするダチョウやエミューは巣内に不義の子のいる割合が高く、育てているヒナの半数以上は、オスと血がつながっていない。
 何が原則で、何が例外なのか、勘違いしないように...。
 陰茎骨は、脊髄動物の歴史上、もっとも謎に包まれた骨のひとつだ。
 マルミミゾウの求愛に関する観察によると、オスはメスを「愛撫」したあと、鼻を交差させ、先端をお互いの口の中に入れる。交尾の前に、オスはメスの協力のもと、メスの検体の化学検査をする。交尾が終わると、群れのほかにメンバーが周りを取り囲み、おのおのオスとメスから「検体採取」をして、幸せなカップルの交尾を祝う。ゾウにとって、情交は集団全体で育(はぐく)むもの。
 ゾウアザラシのメスは、オス同士の闘争をけしかけ、配偶相手の候補者をふるいにかけ、選択している。
 古代ギリシャでは、ペニスは小さく、きゃしゃであるのが良いとされた。大きく太いペニスは野蛮で、奴隷や未開人の特徴であり、ギリシャ人にはふさわしくないとされた。
 著者は学者であると同時に、妻であり、母親でもあります。
 「3人の息子たちと夫は、私のヒーローだ。生殖器づくしのこの本を私が芝居かかった調子で読みあげ、衝動の赴くままにダジャレを連発するのを、品よく我慢してくれた」と、あとがきに記しています。このように女性が男性のシンボルであるペニスについて研究して発表した本なのです。なので、とてもユニークな視点に満ちみちています。
(2022年8月刊。税込2970円)

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