弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年12月 9日

鎌倉武士の生活

日本史(鎌倉)


(霧山昴)
著者 西田 友広 、 出版 岩波ジュニア新書

 「鎌倉殿の13人」のおかげで鎌倉時代の武士が大きく注目されているようです。といっても、私はテレビは見ていませんので、そんなブームとは関係ありません。
 鎌倉時代にも「大名」(だいみょう)がいたそうですが、江戸時代の「大名」とは、まったく意味が違います。多くの所領(領地)を持つ有力者だという意味なのです。
 御家人(ごけにん)とは、先祖伝来の所領を持ち、鎌倉殿に家来として使えることで、その所領の領有を保障された武士のこと。
 鎌倉時代の後期には、幕府による御家人身分の認定は厳格化された。御家人身分が限定されたのは、それが特権的な身分だったから。
 絵巻物を見てみると、裸足(はだし)の武士も多くいた。上級の武士は、頬貫(つらぬき)とう皮革製の靴を履いた。武士は、地方と京都の両方にいた。武力行使という職能によって社会の中に位置づけられた人々。
 源頼朝の出発点は、反乱軍・反政府武将勢力だった。頼朝は謀叛(むほん)人だったのです。反乱軍だったのが、勝ちすすんで政府軍になったのでした。
 建物を数える単位というのに、「宇(う)」というのがあるのを初めて知りました。持ち家は1戸、アパートは1棟というのですが、「宇」というのもある(あった)のですね...。
 昔の日本人は、実際には獣肉をかなり食べていた。それはそうでしょうね。猪(イノシシ)なんて、今よりもっと身近にいたでしょうし...。武士は犬も食べていたようですね。私は、いわゆる犬派ですので、まちがっても犬は食べたくありません。でも、仔牛は可愛いと思いつつ、食べたいのです。我ながら矛盾していると思います。
 鎌倉時代の馬はサラブレッドのような大きさではなく、ポニーくらいの小型だった。だから、戦国時代の合戦を撮った映画にサラブレッドが登場すると、いささか興ざめというか、違和感があるのです。それでも日本古来の馬は持久走は悠々できるようです。
 鎌倉時代の女性は、北条政子のように、大きな実力を持っていました。地頭職につくこともあったのです。そして、娘は親から所領を譲られることもありました。その所得は、夫の財産とは別に、妻自身の財産として扱われた。そして、実際の合戦の場にも戦う女性が存在していた。うひゃあ、こ、これは驚きです...。
 鎌倉武士の実際を知ることができる本です。
(2022年8月刊。税込968円)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー