弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年11月17日

追跡・間宮林蔵探検ルート

ロシア


(霧山昴)
著者 相原 秀起 、 出版 北海道大学出版社

 北海道の北、かつては日本領だったサハリンが大陸とは別の島だというのを探検して確認した間宮林蔵の足跡を北海道新聞の記者がたどったのでした。サハリンと大陸との間は今も間宮海峡と呼ばれています(今のロシアでも呼んでいるのでしょうか...?)。
 間宮林蔵がサハリンを探検したのは1808(文化5)年から翌年にかけての2年間。そのとき間宮林蔵は30歳前後。そうなんですね、やはり若さが必要ですよね。
 伊能忠敬は50歳台から日本全国を歩いて測量しましたが、寒さの厳しさが格段に違うサハリンには、やはり若さが不可欠ですよね。
 伊能忠敬は、北海道の大部分を間宮林蔵の測量を基にしているそうです。
 北海道新聞の記者である著者は、北海道大学(北大)探検部出身とのこと。すごいですね。
 間宮林蔵が現地で実測して作成した地図は、現代の衛星データを利用してつくった地図と比べても遜色がないほどの正確さがある。
 いやあ、実に、これって、すごいことですよね。基本は人間の足ですからね...。
 間宮林蔵の描いた絵は、まるでドローンを飛ばして見たように、一定高度に視点を置いて、俯瞰(ふかん)するように描いた。間宮林蔵は、上空から見た風景を想像して絵を描いている。すごい、すごーい。
 当時、サハリンの村では女性の力がすごく強かった。女性上位の村で、女性からの誘惑を間宮林蔵はなんとか拒絶して、村の男たちとのトラブルを避けた。僻地(へきち)で女性問題を起こすのは、探検家や冒険家にとっては、今も昔もタブーなのだ。なるほど、そうなんでしょうね...。
 現在、サハリンでは犬ぞりはまったく姿を消して、スノーモービル全盛だ。日本のヤマハ製が人気だ。
 サハリンには、アイヌの子孫だという「ワイサリ」と名乗る人々が住んでいる。
間宮林蔵はアイヌの集落でアイヌの女性と結ばれて、女の子が生まれ、北海道に子孫がいるそうですが、その名前は「間見谷」です。そして、東京と茨城県にも間宮家が続いているそうです。
 この本は、北大構内の売店で購入しました。北大では、久しぶりにポプラ並木も見学しました。
(2022年4月刊。税込2750円)

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