弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年9月 8日

「検証・統一教会=家庭連合」

社会


(霧山昴)
著者 山口 広 、 出版 緑風出版

 統一協会・原理研・勝共連合問題の第一人者である著者が今から5年前に出版していたものが、先の安倍銃撃事件のあと、増刷されました。なお、この本の元になったのは、1993年春に刊行された『検証・統一協会―霊感商法の実態』です。このときは「統一協会」となっていますが、今回は「統一教会」となっているのは、世間一般の認識にあわせたのでしょう。でも、私はやっぱり「統一協会」と書くべきだと考えています。本人が「協会」としているのに、わざわざキリスト教の教会と混同させる名称を使うべきではないからです。統一協会は、キリスト教とは無縁だし、教会でもなく、要するに宗教に名を借りて「無知」の人々から大金を騙しとる詐欺集団、反社会団体なのです。ですから、統一協会を徹底的に批判するとき、宗教の自由など、まったく問題になりません。「カルト」指定して、活動禁止すべきなのです。
 裁判所は、統一協会のインチキ商法について次のように判決しています。
 「契約締結に至ると、不安感等を抱いた客の心理状態を巧みに利用して、即座に支払えるだけ現金を支払わせたうえ、印鑑を購入したことを他言しないように言って口止めをするというもので、巧妙で悪質である」
 統一協会は勢力減退中であり、若者の入信者が激減し続けているため、信者の高齢化が進行し、平均年齢は55歳。かつて合同結婚式に参加した信者夫婦の多くは50歳をこえ、多くの二世が成人しているが、その7割は統一協会から離れている。現在、統一協会は、既婚女性中心の2万人から3万人ほどの集団とみてよい。年150億円が国内運営費として必要であるが、韓国にある本部から年に300億円を送れと指示されているので、その資金獲得目標の達成を常に目標とする資金集め活動が中心の教団。
 文鮮明は、23歳年下の韓鶴子とのあいだに7男7女をもうけたが、そのうち4人は既に亡くなり、うち5人以上に離婚歴がある。
 韓国の統一協会の信者は、日本のように高額の献金はしない。
 韓国では、文鮮明は教祖というより、統一教グループの総師として、多くの会社を経営し、莫大な財産をもつ大金持ちとして知られている。
 「韓国人が人間なら、日本人は犬ころ以下」
 「韓国人ならこじきでも、日本人の貢献した人より上に立つ」
 こんな主張をしている団体と手を結んだ安倍元首相や高市、稲田らの日本右翼グループの存在意義を疑います。
 統一協会は、70人もの自民党の国会議員の秘書を送り込んだ。これらの「秘書」たちは、国会議員との政策のすりあわせもしていただろう。 国会議員は、統一協会の集会のメッセージやスピーチをする。また、政治献金を税金からもらう。
 1991年12月、文鮮明は突如、北朝鮮を訪問し、金日成とにこやかに握手した。これには驚きました...。反共を看板にしている団体が、最も過激な北朝鮮トップと手を握ったのですから...。
 文鮮明は、アメリカで脱税犯として裁判にかけられ、1年半の実刑判決を受け、実際にも服役した。文鮮明は2012年9月3日、92歳で死んだ。そのあと、後継者となるはずだった七男と四男はアメリカへ放逐されたのでした。莫大な利権のからむ後継者争いは、今、故文鮮明の妻・韓鶴子が握って、一応の決着がついているようです。
 統一協会の問題が明るみになった今、積年のウミにどっぷり浸ってきた自民党の国会議員たちには、いったん全員が辞職し、身体をきれいにして出直してもらいたいものです。
(2022年7月刊。税込2750円)

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