弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年8月24日

聞くだけの総理、言うだけの知事

社会


(霧山昴)
著者 西谷 文和  、 出版 日本機関紙出版センター

 一見ソフトな「聞くだけの岸田」は、選挙前、あたかも新自由主義と決別するかのようなウソをついた。国民に寄りそうフリをして当面の選挙を乗り切り、あとですべてをホゴにする作戦に出たので、自民党は選挙で負けなかった。 
 「言うだけの吉村」は、分かりやすい。コロナ対策に「イソジンがいい」と明らかなウソを言ってのけた。これで塩野義製薬の株価が上がった。松井と吉村をトップとする維新の目玉はカジノと大阪万博。これには吉本興業と維新そして大阪財界がカジノ利権で結託している。吉本興業はカジノに隣接する劇場の運営利権を手に入れる予定。そして万博の大使(アンバサダー)に吉本の会長が、マネージャーのダウンタウンが就任。芸人が権力にすり寄っている。その代表格がダウンタウン。コロナによる死者は大阪が日本中で最悪。
 橋下徹は大手サラ金・アイフルの子会社の弁護士で、吉村知事はサラ金最大手だった武富士の弁護士だった。サラ金の顧問弁護士だから悪いということではありませんが、そんな仕事をしていたことは広く知られていいことです。
 大阪テレビ局の朝・夕のワイドショーに吉村知事がずっと出ている。大阪では「へつらい」がまかりとおっている。
 パソナの竹中平蔵は公共・切り崩し作戦。公務員を削って、パソナがもうかる仕組み。水道も鉄道も民営化して、パソナと竹中平蔵がもうかる仕組みをつくろうとしている。
 橋下徹の1回の講演料は200万円。年に何回もするので数千万円になっている。その原資は維新の会なので、結局のところ、私たちの税金。
維新の汚れた部分は報道されないので、なんとなく維新が改革者だと誤解している人が多い。でも、本当は違う。
 ロシアのウクライナ侵攻戦争で、1日2.5兆円の戦費がかかっている。それでもうけている人たちがいる。そんな人は戦争が早く終わるのを決して望んでいない。
 安倍首相はロシアのプーチン大統領と27回も会って、会食もし、3000億円を渡した。
 「ウラジーミル(プーチン大統領)、キミとボクは同じ未来を見ている。ゴールまで駆けて、駆けて、駆け抜けようではありませんか」。よくもまあ、こんなことを臆面もなく、言い切ったものですよね、聞いているほうが恥ずかしくて思わず赤面します。
 漫然とテレビも新聞も見ずに、好きなネット情報だけに頼っていると、維新を改革政党だなんて、とんでもない誤解をしてしまう。ホント、そうですよね。わずか160頁ほどの小冊子ですが、ぜひ多くの、とくに若い人に呼んでほしいと思いました。
(2022年6月刊。税込1430円)

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