弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年6月21日

モンゴルはどこへ行く

モンゴル


(霧山昴)
著者 窪田 新一 、 出版 論創社

私は相撲にはまったく関心がなく、テレビで見ることもありませんが、日本の相撲はモンゴル人力士が支えてきましたよね。そのモンゴルの今を多角的に追究している本です。
モンゴルの首都のウランバートルで、日本車は多く、目立つ。しかし、モンゴルで大きく成功した日本企業はあまり多くない。ウランバートルには日本の5大商社の事務所があるが、それほど目立つ存在でもなさそう。モンゴルでのビジネスのハードルの高さは想像を絶している。
モンゴルにおける最大の問題は、政治とビジネスの癒着。政治家や高級官僚が自身の立場を利用して鉱山利権や土地の許認可に影響力を行使している。
癒着・腐敗が、国会に議席をもつ既成政党のなかでキャリアアップするために構造化されている。
国内産業が十分に発達していないため、税収の多くを鉱山に依存しているモンゴルの財政は常に脆弱(ぜいじゃく)で、政治家や公務員の給料は高くない。ほとんどの政治家や高級官僚は、家族・親族の名義で企業を経営させており、それらの企業が不正の舞台となる。
モンゴルでも若者の投票率は50%ほど(日本は33%)。政治に期待がもてないというあきらめから、投票所に足を運ばない。日本と同じ。でも、それは腐敗した権力者を喜ばせるだけなんですけれど...。
戦前の帝国日本は、ロシアと3回も密約をとりかわし、モンゴルにおけるロシアの特殊利益を承認していた。
日本敗戦後、大量の元日本兵がソ連軍によってシベリアへ連行されるが、その一部(1万4千人)はモンゴルへ廻されて、首都ウランバートルの建設に従事させられた。
モンゴルは、国土の7割以上が草地・牧草地。モンゴルは降水量が少ない。
遊牧は、現在でもモンゴルの衣食住を担う生業。遊牧を中心とする牧畜はモンゴルの基幹産業。牧民世帯は17万戸であり、全世帯9万戸の2割近くを占めている。
モンゴルの広大な草原の下には豊富な鉱物資源が眠っている。銅と石炭である。その輸出のほとんどは中国向け、砂金を採取するため「ニンジャ」と呼ばれる労働者が働いている。
ウランバートルは世界でもっとも寒い首都。また、自動車排ガスとあわせて暖房用の石炭も都市の空気を汚している。
モンゴル馬は小柄だが、がっしりとした体格。脚が丈夫で、耐久力がある。モンゴルの大草原での乗馬ツアーを営んでいる日本人の若者がいる。たいしたものです。
日本の高専にモンゴル人の若者が勉強に来ている。そして、モンゴルは日本と同じ方式による高専が3校もある(「技術カレッジ」と呼ぶ)。いやあ、これはいいですね。若者同士が交流できる場があるというのは、とてもいいことです。
モンゴルという未知の国を少し知った気分になりました。
(2022年1月刊。税込2200円)

 日曜日の午前中、フランス語検定試験(1級)を受けました。1995年以来、毎年2回、仏検を受けています。今年、福岡の1級受験生は4人のみ(おじさん3人と女性1人)でした。今までで最少です。近くで仏検4級の試験もあっていましたが、そちらは50人ほども受験生がいるようでした。
 1級は、準1級と違って合格することははなから期待していません。ともかく、ボケ防止のためです。25枚にもなる過去問を朝と夜に繰り返し復習しました。
 そして結果は...。自己採点で61点でした(いつもの大甘です)。150点満点で4割。もちろん不合格は間違いありません。
 終わって、やれやれとほっとしています。

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