弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年6月20日

動物行動学者、モモンガに怒られる

生物


(霧山昴)
著者 小林 朋道 、 出版 山と渓谷社

鳥取環境大学につとめ、先生シリーズ(築地書館)で有名な動物行動学者による、読んでためになる、面白い本です。
たとえば、ヒキガエルは脱皮する。その皮には重要な栄養分が含まれているので、ヒキガエルは自分の脱皮した皮を食べて栄養分を吸収する。また、脱皮には時間がかかるので、襲われたときに備えて、背中のイボから毒物質を分泌している。
ヤマカガシ(ヘビ)にちょっと咬まれたぐらいでは人間の体内に毒が侵入することはない。ヘビの奥のほうで深く咬まれたときに初めて毒が牙から体内に入ってくる。そして、この毒はヤマカガシが生産したものではなく、ヒキガエルが生産した毒をヤマカガシが利用している。
ヒキガエルは、ゴムでヤマカガシに似せてつくった「ヘビ」を見せても態度に変化はない。ところが、横棒と、その上に、傘の取っ手のような構造(逆丁字モデル)を示すと、「四つん這い」威嚇のポーズをする。この逆丁字モデルは、ヘビが獲物を捕食しようとするとき、鎌首をもたげたときの視覚的特徴と合致している。
タヌキの好物はアンパン。鶏肉よりアンパンが好き。その次に好きなものはミミズ。
タヌキは学習能力の高い哺乳類。人間の反応を理解して自分たちの行動を決め、うまく人里に溶け込んでいる。
たしかに、私の家は山里に近く、隣の空地の奥には雑木林があるので、そこから、ある朝、一匹のタヌキが悠然と出てきて、団地内を巡回したことがあり、本当にびっくりしました。
タヌキは、オスとメスが一生涯変えることのないつがいをつくる。メスが出産すると、オスは乳こそ出ないが、子どもの身体を舐めてやったり、腹の下に子どもを抱えこむように座って温めたり、こまごまと世話をする。
ヒトの女性は、物の配置を記憶する能力や言語を操作する能力が男性より優れている。
男性は女性に比べて早く動く物体を目で追ったり、遠くの細かいものを見分けることが得意である。女性は男性に比べて色の違いを見分ける能力が優れている。つまり、ヒトは男性と女性を含む集団として、植物を採集することと同時に動物を捕獲して食べることに適応している。
うむむ、やっぱり男女で役割分担はあるのですよね...。
(2022年5月刊。税込1925円)

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