弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年1月 6日

室町は今日もハードボイルド

日本史(室町)


(霧山昴)
著者 清水 克行 、 出版 新潮社

「日本人は温和」なんて、大嘘。これが本のオビに書かれています。むしろ、日本人は昔から好戦民族だったのです。
戦後76年間、一度も日本人が戦争していないなんて、過去の歴史からすると、泰平の江戸時代に匹敵するほどの大事件なのです。
室町時代の日本なんて、それこそ武力=暴力をもっている人間がまかり通っていたのでした。
「士農工商」は、中国の古典に由来する言葉で、あらゆる職業の人とか全国民という意味。その順番には、何の上下関係もない。江戸幕府が成立する前からある言葉であって、江戸幕府の政策スローガンというものでもない。私も、このことはごく最近になって知りました。
鎌倉時代150年間のうちに、年号は、なんと48回も変わった。ほぼ3年に1回の割合で改元された。甲子園球場の「甲子」は、1924年に出来たということ。
天皇の在位と年号を一体化させた近代(明治以降)は、決して一般的なものではない。年号には、「時間のものさし」としては期待されず、むしろ世の中がリセットされたことを世間に示す「厄払い」の意味でしかなかった。
世の中、知らないことが多いものです。とりわけ、明治以降の日本を江戸時代より前と同じものだと考えると、まったく間違ってしまいます。その勘違いをしている最大集団の代表が自民党の国会議員団です。江戸時代まで、女性は嫁に入っても自分の姓を変えることはなく、死んだあとに入る墓も実家のそれだったのです。知らないということは恐ろしいことです。
(2021年7月刊。税込1540円)

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