弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2021年9月27日

命つながるお野菜の一生

生物


(霧山昴)
著者 鈴木 純 、 出版 雷鳥社

いやあ、面白いというか、興味深い野菜の話のオンパレードです。見事な迫力ある写真に圧倒されっぱなしでした。いえ、野生の動物のような荒々しさではありません。私たちが毎日食べている野菜かどうやって大きくなって、美味しくいただけるのか、その様子を美しい写真とともに解説してくれる本なのです。うれし涙がついついホロホロとこぼれ落ちそうになりました。
だって、いま、私は庭に植えたサツマイモが今度こそ、きちんと収穫できるのか、ずっとずっと気にかけているんですから...。じゃがいものほうは、孫たちと一緒に掘りあげ、見事に成功しました。というか、じゃがいもの掘り上げで失敗したことはありません。ところがサツマイモのほうは、地表面に葉と茎が縦横に生い茂っているので大丈夫だろうと掘り上げてみると、なんとなんと、小さな塊がいくつかあるだけ...、という悲しい経験をしたことがあるからです。
じゃがいもは芋自体から葉っぱが出てくる。植物は茎(くき)から芽が出るけれど、根っこからは芽が出ない。ということは、じゃがいもの芋は根ではなく、茎だということ、そして、じゃがいもの花は、なすやピーマン、ミニトマトの花にそっくり。つまり、じゃがいもはナス科ということ。
では、さつまいもは...。さつまいもは根っこに栄養を貯めて太らせるタイプ。じゃがいもが地下茎に栄養を貯めるタイプなのとは違う。じゃがいもはナス科で、茎を食べる芋。さつまいもはヒルガオ科で、根っこを食べる芋。サツマイモは、中南米を起源とし、そこから世界中の熱帯地域や亜熱帯地域に広がっていった。
じゃがいもは茎を食べ、さつまいもは根っこを食べる、だなんて、こんなに似ていても全然違うものなんですね。
落花生(ピーナッツ)は、私の大好物のひとつなのですが、地上に実がなっていると思っている人が多いようです。それを庭に植えてみて、その成長を観察しました。日付入りの写真で紹介されますから、よくよく分かります。黄色い花が咲いて、落ちた花(落花生)が地上にもぐっていくかと思うと...、そうではなくて、地面に突き刺さるもの(子房)があるのです。この子房が土の中で成長していって落花生になるのでした。
いやあ、見事な一連の写真にほれぼれします。
とうもろこしとヤングコーンの関係も写真を見て、よく分かりました。未熟なとうもろこしがヤングコーン。間引きしたものがヤングコーンとして市場に出まわる。うむむ、なーるほど。
野菜は、種(タネ)のまきどきが重要。早くまいてしまうと、種は待てど暮らせど、芽生えてこない。遅くまいてもダメで、もし目が出てきても、その先の成長はあまり良くない。このように種をまく人の責任は重大で、難しい。
きゅうりは、花が咲いてから1週間で食べごろの大きさになる。
ゴーヤーなど、つる性の植物は途中でつるのまく向きを変える。それによって、引っぱられる力に強くなり、かつ、戻る力も増すことになる...。
うひゃあ、ホ、ホントでしょうか。誰が、いったい、そんなことを考えたのでしょうか。まさか、天地の創造の神様がそんなことまで考えたなんて、信じられません。ゴーヤーは、人間が食べるのはまだ未熟な緑色のとき。本来は食害から、その実を守るための苦さなのに、人間には、この苦さが喜ばれて食べられるなんて...。
東京は国分寺に、種どりをする「ほんだ自然農園」がある。畑を耕すことなく、その大地の自然の循環をいかす農法を実践している。いやあ、ホント、すごいですね。こんな人たちの努力で、日本の農業が成りたっていることを知って、少しだけうれしくなりました。みんなで応援しましょうね。
日曜園芸家のはしくれとして、こんないい本に出会えて感激です。日曜日ごとの野菜づくりと土いじりは、私の健康法の一つです。
(2021年6月刊。税込2640円)

 祝日(23日)にサツマイモを孫たちと一緒に掘り上げました。
 初めに姿をあらわしたのは、いかにも細い枝のようなイモでしたから、ありゃりゃ、これは去年に引き続いて失敗してしまったか...と思いました。でも、掘りすすめていくうちに、それなりに太いイモも何個か姿をあらわしてくれて、イモ掘りの格好もつき、孫たちと喜びました。イモのテンプラにして食べましょうか...。

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