弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2021年6月15日

闇の権力、腐蝕の構造

社会


(霧山昴)
著者 一之宮 美成 、 出版 さくら舎

九州から、はるか遠くの大阪を眺めると、デタラメ放題の維新政治をマスコミをはじめとして大いにもてはやす人がいるのが不思議でなりません。
コロナ対策にいいとイソジンを推奨したり(吉村知事)、雨合羽が必要だと高言して(松井市長)、寄せられた大量の雨合羽を市庁舎の地下に埋蔵して放置したり...。こんなとんちんかんなことを言うのは、まだ笑い話みたいに許せるのかもしれません。でも、コロナ禍が迫っているなかで公立病院の閉鎖を強行し、また、保健所を次々に廃止するなんて狂気の沙汰でしかありません。その結果として現在の医療崩壊がもたらされたのです。コロナに感染しても病院に入れずに自宅待機中に次々に患者が亡くなっている深刻な状況が報道されているにもかからわず、吉村知事も松井市長も平気な顔をして責任をとろうとしません。どうして、大阪人が、こんな無責任な連中を許しておくのでしょうか、不思議でなりません。
この本は、維新府政になってから医療職員と保健師が激減した事実を怒りをこめて指摘しています。これを読んだ私は心を痛めるばかりです。「二重行政のムダ」として、病院の統廃合をすすめている維新の府政は府民の生命と健康を守る立場に立っていないとしか言いようがありません。そして、維新が言うのはカジノによる経済振興です。ひどすぎます。
IRはカジノ開業と直結させるのが狙い。大阪万博は会場が同じカジノへ誘客を意味している。ところが、まあ、そんなカジノ誘致もコロナ禍の下で幸いにも頓挫しているようです。アメリカのカジノ業者(MGM)は大阪から撤退を決めたと報道されています。
カジノ汚職で自民党の国会議員についての刑事裁判が進行中ですが、大阪でのカジノ計画もコロナ禍でうまくいくはずがありません。まあ、それにしても、よくぞ汚い金で人心を惑わせようとうごめく人々がこんなにもいるのかと呆れます。それに惑わされている大阪人に目を覚ましてくださいとお願いしたい気分になる本でした。
(2021年4月刊。税込1650円)

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