弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2021年6月 5日

特務(スペシャル・デューティー)

社会


(霧山昴)
著者 リチャード・J・サミュエルズ 、 出版 日本経済新聞出版

日本人は、誰もが、男でも女でも、生まれながらのスパイである。
これは、蒋介石の言葉だそうです。ええっ、そ、そんな...、本当でしょうか。
冷戦期の日本は、CIAはもっていなかったが、KGBは実際にもっていた。それは、警察、外務書、防衛庁だ。ええっ、これにも驚かされますよね...。
日本のインテリジェンス部署は、小規模で包括的でなく、調和せず、財源不足で、長く続く政治的敏感性(とくにスパイの使用に関して)の結果、不必要に複雑だ。彼らは、みな相互不信の環境にある。
日本の陸上自衛隊のインテリジェンス部隊は、アメリカのパートナーには秘密のコードネームの下で稼働していた。
今日では、日本の分析官はもっとも進んだ宇宙スペースの画像処理技術の多くを用いて、中国の空母のデッキに並んで立っている5人のパイロットと1人の儀典官を識別できるという。
1997年、日本は、シギント(通信情報)とイミント中心の防衛庁情報本部を設立した。
データマイニングは、いまでは干し草の山のような情報の中から脅威をもたらす針を探し出すことを可能にしている。
6要素とは、収集、分析、伝達、保全、秘密工作、監視。収集は、常に故意に流された偽情報に立ち向かい、打ち勝たなければならない。
アメリカの秘密工作を担当する特殊計画局は、2800人の職員を擁し、イタリアや日本で反共政党を招集し、イラン、インドネシアなどで左傾政府を動揺させた。
日本の陸軍は、1917年から1937年までの20年間に、私立の英語の語学学校に75人の士官を送り込んで英語を身につけさせようとした。中国語に102人、74人をドイツ語に、63人にフランス語を学ばせた。ええっ、英語の比重の低さに驚かされます...。
ムサシ機関が、陸幕二部班として知られている。彼らは、基地の外で、私服で活動し、国内や東アジア全域で共産主義者を監視するようになった。山本舜勝は、日本帝国陸軍の情報将校であり、中野学校の教官であり、警察予備隊に参加している。
2014年から2015年にかけて、特定秘密は25%も増えた。
日本の特務(スパイ機関)はまったく霧の中で、見えませんよね...。
(2020年12月刊。税込3300円)

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