弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2021年5月24日

百姿繚乱

人間


(霧山昴)
著者 嵐 圭史 、 出版 本の泉社

前進座で活動していきた嵐圭史の舞台生活70年の雄姿を紹介する写真集です。そのすごさに思わず息を呑みます。
嵐圭史の初舞台は、なんと1948年。私の生まれた年です。8歳で初舞台とは...。そして80歳の今も、前進座こそ離れましたが現役の役者です。すごいものです。並の根性ではありません。残念なことに、私が前進座の舞台を観劇したのは2回か3回ほどしかありませんし、何をみたのかも覚えていません。
ながらく前進座を支える柱である幹事長をつとめていて、70歳のときに後進に託したとのこと。いさぎよい身の退き方です。たくさんの舞台が見事な写真で紹介されています。1972年の「子午線の祀り」の嵐圭史は凛々しい若武者です。
1991年には「国定忠治」を演じ、唐丸籠(とうまるかご)に入れられています。
1997年に新しい国立劇場がオープンしたときには「夜明け前」を加藤剛とともに演じています。
嵐圭史が佐倉宗五郎を演じた「佐倉義民伝」はみた気がしますが、定かではありません。
嵐圭史が太閣秀吉をコミカルに演じた「大いに笑う淀君」という舞台があるそうです。
時代劇も嵐圭史の雰囲気にぴったりですよね。「瞼(まぶた)の女」の忠太郎は、いなせな浪人姿で決めています。
私は、ひところ山本周五郎にしびれていました。嵐圭史も「さぶ」を演じています。ぜひ、みたかったです...。
私の敬愛する井上ひさしの「たいこどんどん」では、アホな若旦那役を嵐圭史は見事に演じました。楽しい舞台だったと思います。
ちょっと変わったところでは、嵐圭史は親鸞になったり、日蓮になったり、また蓮如にも、と大忙しです。また、鑑真にもなっています。プロは本当になんにでもなれるのですね。さすがです。100頁足らずの濃密な写真に圧倒されました。
(2020年8月刊。2700円+税)
 
 歩いて5分の小川にホタルが乱舞しています。孫たちと一緒に見に行きました。ちょうど目の前に飛んできたので、両手でそっと包みこみ、孫の手のひらに移してやりました。小学1年生の孫は、つまんでみようとしますので、「見るだけ、見るだけ」と注意します。2歳の孫のほうは初めてのホタルに、少しおっかなびっくりで、こわごわ兄の手のひらのホタルをのぞきこみました。上の孫が、そっと手を開いてやると、ホタルはフワフワと飛び去ります。いつ見てもホタルはいいですよ。童心に返ることができます。

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