弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年12月17日

メーター検針員、テゲテゲ日記

社会


(霧山昴)
著者 川島 徹 、 出版 フォレスト出版

『交通誘導員ヨレヨレ日記』は面白く読みました。そのシリーズ第3弾です。いつも大変面白く、身につまされながら読んでいます。なにしろ私と同じような世代の人たちの苦労話なのです。
電気メーター検針員というのがどんな職業なのか、この本を読んでようやく分かりました。
九州電力(九電)が電気メーターの所有者であるが、その取りつけは九電の下請けの委託業者が行う。そして、検針員は、九電から検針業務を請け負っている会社に雇用されている。この下請業者は九電の天下りが社長になり、社内叩き上げが社長になることはない。
検針員は1日に200~400件を検針する。1件40円、つまり1日1万円ほど。著者は月に10日間働いて、月収10万円の生活を長くしていた。
鹿児島市内の繁華街だと1日に2万円以上も稼げるが、農村地帯のところどころにしか人家がないようなところだと、1日8000円くらいにしかならない。そんなところでは検針料が5円だけ高く設定されているが、とても間尺にあわない。
検針先の家に犬がいるときには、ドッグフードを与えて手なづけるという奥の手も使う。なので、ドッグフードは、検針員の必須の七つ道具の一つ。
鹿児島では、ヘビが家の中に入ってくるのはよくあること...。
うひゃあ、し、知りませんでした。ネズミを狙って天井裏までのぼっていくのです。そうなんですか...。わが家の庭の木にヒヨドリが巣をつくったとき、ヘビがそのヒナたちを狙って木のぼりしているのを発見したときには、さすがに私も驚きましたが...。結局、ヒナはヘビに食べられてしまいました。可哀想でしたが、どうしょうもありませんでした。それ以来、ヒヨドリは巣をつくりません。教訓を生かしているようです。
検針の仕事をはじめて驚いたことのひとつが、独居老人の多さ。どの家にも寂しさがカビのように漂っている。だから、検針員の来訪を心待ちにしている人々がいる。そして、女性検針員にはセクハラの危険もある...。
犬が吠えるときには、ドッグフードで手なづけるか、それとも真正面から向きあい、目をにらむ。犬に背中を向けてはいけない。背筋に向かって襲いかかってくる。背中や尻も狙われやすい。まるで熊への対処法みたいですね...。
そして、今やスマートメーターの時代。検針員が不要になっていく...。
それで、著者は契約更新を会社から拒否されたのです。
(2020年7月刊。1300円+税)

 11月に受験したフランス語検定試験(準1級)の結果を知らせるハガキが私の誕生日に届きました。大きな字で「合格」と書いてあり、大変うれしく思いました。自己採点では71点でしたが、3点も上回っていて74点をとっていました。合格基準は69点です。これで、次は口頭試問です。1月末に受験します。これまた難関です。なにしろ、5分前に渡されたテーマの一つを3分間自由スピーチしろというのです。いやはや、大変です。コロナ問題で旅行の自粛をどう考えるか、なんて出題されたとき、フランス語でなんと言うかを考える前に、日本語で3分間でまとめるなんて難しいことですよね...。ともかく、がんばります。

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