弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年11月12日

当世出会い事情

アメリカ


(霧山昴)
著者 アジズ・アンサリ 、 出版 亜紀書房

スマホ時代の恋愛社会学というサブタイトルのついた本です。
スマホ時代になって、不倫の立証はかなり容易になってきました。だって、不倫相手とのやりとりが残っている(写しとられる)ことが多いからです。しかも、その会話は性的に露骨ですし、写真のやりとりも多いからです。
セクスティングというコトバを本書で初めて知りましたが、このコトバを知る前にその理由は見聞していました。
セクスティングとは、デジタルメディアを通じて、露骨に性的な画像を共有すること。
なぜ人々はセクスティングをするのか?
パートナーと親密さを共有するため、性的な魅力をアピールするため、パートナーの求めに応じるため、遠距離をこえて愛情を保つため...。
ところが、親密な時を分かちあう贅沢とプライバシーを与えてくれるテクノロジーが、その一方で、悲しいことに、パートナーの信頼を大きく裏切る行為も可能にしてしまう。
世間には、性的に健全で、まともな人間はセクスティングなんかしないと考えている人も多いが、実際には、そうではないという証拠が山ほどある。
大人たちがセクスティングの危険をどう考えようと、若者たちのあいだでは、それがどんどん普通のことになりつつある。
スマホによって浮気も簡単に可能になった。アメリカで恐ろしいほど人気のある出会い系サイトは会員数1100万人だ。3年前に850万人だったのが急増している。ここのモットーは、「人生一度。不倫をしましょう」だ。
SNSが浮気を簡単にできるようにした半面、そのためにはいっそう発覚しやすくもなった。
ちなみにフランスでは、政治的リーダーが少なくとも愛人をもち、そしてしばしば第二の家庭まで築くものだと、国民の多くが理解している。フランソワ・ミッテランが大統領だったとき、愛人と娘がエリゼ宮にしばしばやってきていた。エリゼ宮には正妻と子どもたちがいることを承知のうえで...。そして、ミッテランの葬儀のとき、第一家族の横に第二家族が並んで座った。
うひゃあ、そこまですすんでいるのですか...、知りませんでした。
出会い系サイトにアップする写真についてのコメントもあります。
女性の場合には、カメラに向かって誘いかける感じのほうが成功率が高い。ところが、男性のほうは笑わずに視線をそらしているほうが、ずっと効果をあげる。女性にとってもっとも効果的な撮影アングルは、正面からの自撮りで、ちょっとはにかんだ表情を浮かべ高い角度から撮るのがいい。男性では、動物といっしょの写真がよく、もっとも効果が薄いのは、アウトドア、飲酒、旅行の写真。
世の中、スマホですっかり変わってしまいました。
(2016年9月刊。1900円+税)

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