弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年8月15日

なぜ僕らは働くのか

人間


(霧山昴)
著者 池上 彰(監修) 、 出版 学研

マンガを主体としながらも、きちんとした文章で子どもたちが人生の選択を考えるうえのヒントが満載の本だと思いました。
私自身は、大人になったら何をしようか、とか考えたこともありませんでした。野球選手だとか考えたこともありません。だって、スポーツはおつきあい程度でしたし、歌は音痴ですし、せいぜい本を読むのが好きなだけでした。
ずっと学級委員長もやってましたけれど、別に世話好きではありませんので、政治家なんて考えたこともありません。学者もそんな能力が自分にあるとは思えませんでした。だから、無難なところで公務員(官僚)にでもなるしかないかなと思ったのでした。
小学生のなりたい職業ランキングが1990年には男子は野球選手、警察官、おもちゃ屋さん、女子は保育園の先生、お菓子屋さん、学校の先生でした。それが2018年には、男子は野球選手、サッカー選手そして医師になりました。4位にゲーム制作そして6位にユーチューバーが入っています。女子はパティシエール、看護師、医師となりました。有資格者が増えて堅実な傾向です。
時代が変わると、仕事も変わるのですね。
AIと仕事の関係も考えられています。でも、AIに奪われる仕事ばかりではありません。AIにまかせられない仕事として、精神科医、国際協力専門家、作業療法士、カウンセラー、はり・きゅう師などがあがっています。私自身は弁護士もカウンセラー的な要素をふくめてAIにとって代わられることはないと確信しています。
仕事がうまくいく人は、好奇心がある、持続性がある、柔軟性があるとされています。私も、この三つをもち続けたいと考えています。
そして、楽観性があり、冒険心があるのも大切だとしています。まったく異議ありません。
お金だけが人生ではない。まったくそのとおりです。
本を読む(読書)は、自分とも対話している。著者と対話するだけでなく、自分はどう思うかなど、自分との対話もしている。この2つが心のなかに生まれるので、人の精神が成長する。
とても読みやすいので、中学生にはぴったりの本だと思いました。
(2020年6月刊。1500円+税)

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