弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年8月 1日

アフリカから、あなたに伝えたいこと

アフリカ


(霧山昴)
著者 島岡 由美子 、 出版 かもがわ出版

アフリカのタンザニアに暮らしはじめて30年の日本人夫婦の生活を妻である著者が語ります。なにしろ夫(島岡強)は、アフリカ独立革命を志とする革命家なのです。
革命家といっても、武力闘争ではない。一人ひとりが、地域が、国が、アフリカ全体がベストの方向に向かえるよう、その時点で自分にできることから順に具体化していく。そんな気の遠くなるほど地味な日常の積み重ねこそが、著者と夫のアフリカ独立革命だ。
夫は1983年5月、19歳のときアフリカを目ざし、ソ連からヨーロッパをまわってアフリカに入った。
そして、著者は革命児たる夫と結婚して、1987年に夫と1週間遅れてアフリカに入った。
その後、タンザニアのザンジバルを拠点として漁業を始めた。そして、妻は、ザンジバルで柔道も教えた。道場も無からつくり出した。
著者のマラリア闘病記は、まさに壮絶です。よく、これで生命が助かったものだと思います。現地のドクターの献身的な医療のおかげです。このとき、最後に効いたのは中国製のマテメサリーというマル秘特効薬だったとのこと。1日1本、5日間の注射です。
日本人の子どもを迎え入れた経験も紹介されています。日本で表情が乏しく、何を考えているか分からないような女の子が、ザンジバルに来て、みるみるうちに生気をとり戻していったという話です。日本とはまったくちがった異文化に接することの大切さを感じます。
日本には、いじめはあるけど、ぬるま湯的なところもある。しかし、アフリカでは、人々がみな必死で生きようとしている。その姿に感じるところがあるというわけです。
一期一会を毎日実践してきたというのもすごいことです。とてもマネできないなと思いつつ、その行動力とたくましさに心惹かれて、コロナ休業中(ゴールデンウィーク中)に一気読みしました。お元気にお過ごしください。
(2020年1月刊。1800円+税)

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