弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年7月 2日

『世界』がここを忘れても

アフガニスタン


(霧山昴)
著者 清末 愛砂・久保田 桂子  、 出版 寿郎社

アフガニスタンの女性・ファルザーナの物語というサブ・タイトルのついた絵本です。
アフガニスタン女性革命協会(RAWA)を支援している「RAWAと連帯する会」共同代表の著者がアフガニスタン現地での活動を通して知りあったアフガニスタン女性たちから聞いた話をもとに、「ファルザーナ」という女子大学生のストーリーにまとめた本です。
見開きに文章と絵があるのですが、描かれた絵がいかにも文章にマッチしていて、読み手の心をぐぐっとつかまえて離しません。
アフガニスタンというと、先日、惜しくも殺害された中村哲医師を思い起こしますが、国の再建にはまだまだ時間がかかるようです。
アフガニスタンでも大学に通う女子学生はいるのです。通学はバス。バスは、前のドアは女性客が、後ろのドアは男性客がそれぞれ乗り降りに使うといった区別がある。
アフガニスタンの就学率は男性68%、女性39%。大学は男性14%、女性5%になっている。女性の高等教育への進学はなお困難。
識字率は、男性55%、女性30%。15歳以上の半数近くは、読み書きができない。
タリバン政権時代は、女性への教育が禁止された。
アフガニスタンでは、カブール(カーブル)のような大都市を除いて、女性がひとりで外出するのは基本的に認められていない。夫や父・兄弟といった親族男性と一緒に出かけることが求められる。
アフガニスタンでは、今なお爆弾テロが絶えないようです。暴力(武力)には暴力で対抗するというのは、果てしない暴力の連鎖です。中村哲医師のような地道な取り組みこそ日本の果たすべき国際支援なのではないかと考えました。
よく出来た絵本です。ぜひ、あなたも手にとって読んでみてください。
(2020年2月刊。1800円+税)

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