弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年6月15日

美しい生物学講義

生物


(霧山昴)
著者 更科 功 、 出版 ダイヤモンド社

弁護士生活をしているうちに、人間っていったいどんな存在なのか、つくづく考えさせられました。不倫は、男と女、セックスの意味ですし、子どもの親権争いでは、そもそも親子の関係はどうあるべきなのか、遺産相続では、兄弟姉妹の優劣はあっていいのか、老後の面倒はいったい誰がみるべきなのか...。まず、ヒトに近い、サル、そしてチンパンジーやらゴリラに関心が行きました。ところが、ボノボもいたり、セックスと社会平和の関係まで考えさせられます。
相続、世代継承という点では、植物だって動いている存在だということも分かってきました。すると、植物と動物とを結ぶ昆虫の存在も目についてきます。要するに、生物全体に目が行くようになったのです。
日本の屋久島(残念ながら、まだ行ったことがありません)には、樹齢2千年とか3千年という屋久杉がある。7千年をこすという推定は、今では信用されていない。
アメリカの標高2千メートル超の高地に生えているブリスルコーンパインは4千8百年という最長の樹齢が確認されている。
いや、アメリカのモハーベ砂漠に生育するクレオソートブッシュは1万1700年も生きている。いやはや、たまげてしまいます。
ミドリムシ(ユーグレナ)は、葉緑体をもっていて、光合成することができる。それで、植物だと思える。いったいミドリムシは動物なのか...。
実際には、動物でも植物でもない生物はたくさんいる。
今、問題のコロナ・ウィルスは生物ではないということ。すると、容易に撲滅できるはずなのに、彼らはなかなか絶滅しない。いったい、なぜ...?
生物とは、次の3つの条件をみたすもの。第一に、外界と膜で仕切られていること。第二に、代謝(物質やエネルギーの流れ)を行う。第三に、自分の複製をつくる。生物は水中で誕生したと考えられている。その理由の一つは、化学反応が起きやすいからだった。
若い読者に贈る生物学講義ということで、大変わかりやすい本になっています。そのため、既に「第6刷」が発行されています。すごいものです。私の本もこんなに売れてくれたら...と、切に願っています。
(2020年4月刊。1600円+税)

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